先月、ちょっとだけ草取りのことに触れたが、春の暖かさと雨とで、いよいよ草が増えてきた。
ここ木更津東泉寺のご住職の母上(御年91歳。以下「K子さん」)は、おしゃべりをしながら境内を歩いているときでも、ひょいひょいと草をムシっておられる。
「こういうのは、見たときにすぐ取らないとダメなのよ。」
今日は畑の作物の面倒を見る、と宣言なさったときでも、あるいはもう暗くなってお家に入ろうとしている時でも、草が生えているのを見ると屈んでムシっておられるので、なかなか目的地に到達できず、目的を達せない日もしばしば。
さて、ある朝のんびりと寝坊をした私は、ラジオ体操もストレッチもせずに布団でグズグズしていて、K子さんのデイサービスの送迎車が境内に入ってくる音に気づいた。
これは起き出す良い機会だと思い、寝巻き代わりの作務衣のまま、K子さんの見送りに出た。
送迎車に手を振ってから身体をぐるりと回し、本堂のご本尊に朝のご挨拶。
と、足元を見ると石畳の隙間に雑草が生えている。
う〜、どうしよう。着替えてないし、軍手も膝当てもつけてない。
そこで思い出したのが、K子さんの先の言葉。
ご飯を食べて着替えて装備を身に付けて、なんてしていたら、きっとこの草の事は忘れてしまう。
取るなら今しかない。
それに、作務衣って要するに作業着ってことじゃない?
K子さんの真似をして、膝を曲げずに腰だけ折って抜いてみた。
朝露で土が湿っているし、まだ草も若いので、指先でつまんでそーっと引っ張ると、根っこまでするりと抜ける。
フムフム。これだな。見たときにすぐ抜く。
お? 今の動作で太腿の裏側がストレッチしたかのように伸びた。
でも、ずっとこの姿勢ではきっと腰が痛くなる。
次の草は、膝を折ってしゃがみ込み抜いてみた。
うんうん。今度は腿の表側がよく伸びた。
いろんな姿勢で草取りをすれば、わざわざストレッチなどをしなくても、充分体がほぐれる。
これからは、布団の中でぐずぐずせずに、朝一番の抜きやすい草を抜くことで、朝の体操としようかな。
境内には、自然の花(雑草)、植えられた花取り混ぜて、たくさん咲いている。
腰を屈めたりしゃがんだりすれば、花の表情も良く見えるなぁ。