ことばの物語
〖烏白馬角〗
うはくばかく
「カラスが白く馬に角がある」ということで、「世の中
にあり得ないこと」のたとえであります。
故事があります。
<中国は戦国時代、まだ諸侯の一つであった秦国の
人質になっていた燕国の太子・丹が帰国を求めま
す。その時、秦王が「烏の頭が白くなり、馬に角が
生えることがあったら許そう」と言いました。
丹が嘆きながら天に向かって祈ったところ、烏の頭
が白くなり、馬に角が生えたと。>
民話に昔、烏は白かったという話があります。
<昔、世の中の烏は白でありました。それに目を付
けたフクロウが染物屋を始め、烏に「貴方の羽を
染めませんか」と持ち掛けます。おしゃれ好き烏は
一番美しい羽の色にしてもらおうと、あれだこれだ
といろんな色を注文します。そして、積み重ねられ
た色は真っ黒になってしまったと。>
ギリシア神話では銀色の美しい鳥であったと。
<烏はアポロンに仕えて、いろんな情報をアポロン
に伝えていました。
ある日のこと、烏はアポロンの妻が不倫していると
ころを見つけてしまいました。それをアポロンに報
告すると、アポロンは怒りのあまり妻を殺してしま
います。我に返ったアポロンは、妻を殺してしまった
ことを悔やみます。そしてその怒りで烏に「お前が
余計なことを吹き込まなければ、妻を殺すことはな
かった。全部お前のせいだ」といって、怒りの炎で
真っ黒に焦がされたと。>
≪仏教語≫
〖行雲流水〗
ぎょううんりゅうすい
止まることのない雲と水の流れであります。
「物事に執着せず、自然の成り行きに身を任せる」と
いうことであります。
出典は『宋史』にある蘇軾の言葉からであります。
<文を作るは行雲流水の如く、始めより定質無し。
文章を作る時は空行く雲や流れる水のように初めから決
まった形があるのではない。
但常に、当に行くべきところに行き、止まざるべ
からず所に止まる
行くべきところに行き、止まる所に止まる>
※蘇軾は北宋時代の政治家・文豪・書家・画家で号を東坡
居士といい、禅宗の信奉者として知られています。
禅宗の修行僧を「雲水」といいますが、これはこの行
雲流水からであります。
『超訳仏教の言葉』鳥沢廣栄著/彩図社に次のような
ことが書かれていました。
<雲が一か所に留まり続けれは、日が差さなくなり
植物も育ちません。水も一か所に溜まってしまえば、
澱んで濁ってしまいます.。空とは、雲や水のように、
何のこだわりもなく、執着もなく、留まることなく流れ
るように自然に生きていくことです。
人が空で生きていけば、悩みなど生まれてこないで
しょう。悩みなど生まれてこないでしょう。地位や名誉、
立場、物や金銭に執着を持ったり、他人の言動を気
にしたり、見栄を張ったするから、悩みは生まれてくる
のです。>
理解はしていても、体得できていません。時事に努め
てお思い起こさなくてはにならない大切な教えですね。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫