ことばの物語
〖一酔千日〗
いっすいせんじつ
「美酒のたとえ」であります。
中国の三世紀の『博物誌』にあるお話し。
<ある男が「千日酒」という強い酒を買って家に帰り
ます。その時酒屋の主人はその酒について大切な
ことを伝えるのを忘れました。
それは酒の限度量でありました。
その男はいつものように酒を飲み始めましたが、た
ちまち酔っぱらって昏睡してしまいました。
家族の者たちはその男が死んでしまったものと思い、
棺桶に入れて埋葬してしまいました。
これを売った酒屋の亭主は、千日経ってふと思い出し
て、どうなっているかその男の様子を見に行きました。
男の家に着くと、心配した通り男は埋葬されていまし
た。そこで事象を話し、その男の墓を掘って棺桶を開
けてみると、中から目覚めた男が大あくびをして出て
きましたと。>
(千日も)土に埋められていて、どううして息がてきたの
か、食事はどうしたのかなんて、無粋な考えはするもの
ではないですね。なにせ物語はつくりもの。非現実的で
あってこそ、面白く夢があるであります。)
私は酒がほとんどの飲めませんが、このような者を
下戸(げこ)というのはなぜでしょうか?
〖上戸・下戸〗
大酒飲みを「上戸」、その反対を「下戸」といいま
すが、この「戸」は「家の戸口のことから家」の意
味を表す。
律令制で家族の人数や資産によって、階層が大戸・
上戸・中戸・下戸と決められていました。これから
上戸は上流階級、下戸は最下流れを表します。
婚礼でも酒の量が決められていて、上戸は八瓶、
下戸は二瓶とされていました。
これから多く酒が飲むことができるのを上戸、酒が
少ししか飲めないのを下戸というようになりました。
(階級制度は統治の方法としてもってこいであった
ようですね。)
ちなみに、大酒飲みを左党というのは、大工仕事
で鑿を持つのが「左手」で「のみ手」というところか
らだそうです。
≪禅語≫
〖応無所住〗
おうむしょじゅう
「応無所住而生其心(にしょうごしん)」の略。
「応(まさ)に住する所無くして而(しか)もその心を
生ずべし」と訓じます。(金剛般若経)
と意とするところは「心はどこにもと留め置かない。
そうすれば心は天地いっぱいに広がり、生き生き
とその真価を発揮する」ということであります。
年毎に咲くや吉野の山桜
木を割りて見よ 花のありかを
(伝一休)
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫