ことばの物語
〖夏虫疑氷〗
かちゅうぎひょう
「夏虫は氷を疑う」ということですね。それ、どういう
こと?
これは見分の狭いことで、見分の狭し人が広い世
界を理解せず、自分の知らないことを信じようとしな
いことのたとえであります。
出典は『荘子』であります。
<井戸の中に棲んでいる蛙に海の話しをしてもしょう
がないのは、蛙が自分の狭い居場所に囚われてい
るからである。
夏の虫に氷のことを話しても無駄なのは、夏の虫が
暑い夏のことしか知らないからである。>
「井の中の蛙大海を知らず」もこれによるものであり
ます。
仏教に機根という考えがあります。
「縁なき衆生は度し難し」というのは、この機根こと
を言っているんですね。
(仏縁のない者は救いようがないということ。)
これは、「理解や関心のない者は救いようがない」
という意味で日常使われます。
(いあいつに言ってもしょうがないからやめとけですね。)
「機」は人の心の働きをいったもので、そのことの根
本的な性格・性質であります。(善根・悪根など―
性根が悪いなんていいますね。)
正定聚機・・・教えを聞いて必ず悟ることのでき
る機根
邪定聚機・・・どうしても悟り得ない機根
不定聚機・・・前記の二つの間にあるもので、定
かでない機根
ちなみに、根性という語はこの機根からであります。
≪仏教語≫
〖冥土〗
めいど
「暗黒の世界」であります。
仏教で死者の霊が行くところで、本来は地獄道・
餓鬼道・畜生道をさしていました。
他の世界は人間道・天道ですから、「冥(くら)い世
界」ではありませんね。
(六道はもと五道で後に修羅道が付け加えられました。)
『古事記』では「黄泉国(よみのくに)」といわれます。
これは中国からで、五行説によると「黄=土」となり
ますから、「地下の国」ということであります。
和訓の「よみ」の語源は「闇=やみ」からであります。
別説では「山(やま)」からだとしています。これは古
くは葬地は野山であったところからだそうです。
ちなみに「甦る=よみがえる」は「黄泉帰る」で、生
き返るという意であります。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫