ことばの物語
〖俳優 Ⅱ〗
はいゆう
演劇、映画などに出演する人のことを俳優と
いいます。
「俳」はもとは滑稽な姿をして見せる道化役者
でありました。
「優」はしなやかな仕草をする人で、悲劇役者
とされていました。
俳の字の成り立ちは「人」に「非=左右に開い
た鳥の翼で、背くの意」で、常識に叛いた一風
かわった振る舞いをする、おどけの意味を表し
ています。
※白川先生の字書では「非」は「両側を刻んだ
すき櫛」としています。
「説文解字」に「戯るるなり」とあると。
優の字の成り立ちは「人」に「憂=喪に服して
哀しむ人の姿」で、その所作をまねる人のこと
であります。
※「漢語林」(大修館)では「憂」は「大きいかしら
を着けて足踏みする意」あり、面をつけて舞う人、
わさおぎの意味を表すとなっています。
西欧の悲喜劇のもとは古代ギリシアの悲喜劇
にあります。
ギリシア悲劇はディオニュソス祭儀でコンテスト
として催されました。題材はギリシア神をもとに
、これらに登場する英雄を、観客に生き生きと
よみがえらせ、新しい人間像を描きます。
後に、喜劇が加えられます。
神話→悲劇(血の呪い)→哲学と進展し
ていきます。
〖三大悲劇作家〗
アイスキュロス
人倫を基礎としての正義と、その守護者としての神
観念を追求。
[代表作] ペルシア人・縛られたプロメティウス
オレステイア三部作
ソフォクレス
英雄を主人公にして、運命と対峙する人間の悲壮
な姿を描く。
[代表作] アンテイゴネ・オイディプス王・
エレクトラ
※オイディプス王は、悲劇の最高峰
とされています。
エウリピデス
神や英雄というより市井の人間を描く。
[代表作] メディア・トロイアの女たち
(参:日本大百科全書)
〖喜劇作家〗
アリストパネス
[代表作]
雲・・・ソクラテスに仮託したソフィストの風刺。
蛙・・・アイスキュロスとエウリピデスの詩曲を
材に採り、パロディーなどを織り交ぜた
文芸批評。
メナンドロス
[代表作]
デュスコロス(人間嫌い)
ペリクイセメネ(髪を切られた女な)
≪仏教語≫
〖寺〗
てら
和訓の「てら」の語源はパーリ語の「テーラ=長老」
ということからのようです。(他説あり)
寺は仏像を安置し仏事を行い、仏道を修行する
僧侶の居住のある建物。(=精舎・寺院・伽藍)
寺ーてら・ジ
字の成り立ちは「止に通じる字の略」に「寸=手の
象形」で、法を持して役人が駐在する役所のこと
であります。仏教伝来以来「てら」を言うようにな
りました。
※白川先生の字解によると、「古くは宮中の侍者」
で、特に宦官をいう字であったとありました。
<漢の時代に西域から僧たちが(葉摩騰・竺法蘭)
白馬に仏像と経典を積んでやって来ます。
その者たちを異国人を接遇する役所の鴻臚寺
(こうりょうじ)に宿泊させました。ここから僧たち
は布教活動を開始します。その後、経典・仏像
を安置するためと、僧たちの宿泊所として白馬
寺が建てられます。白馬寺は中国最初の寺で、
名前はこの白馬に由来しています。>
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫