ことばの物語
≪いえー家・廈・屋・舎・宿・宅・宇・庄・邸・院・宮≫
家(カ・ケ)
「宀=いえ」に「豕=いのこぶた」で、大切な家畜に屋
根をかぶせたさま。
昔は家畜と一緒に家に住んでいたようであります。
別説もありますがこちらが面白いですね。
●屋根をかぶせたいえ
廈(カ・ゲ)
「广=いえ」に「夏=上から葉がかぶさるとき」で、上
から覆いをかける意味を含む。
●大屋根をかぶせたいえ
屋(オク)
「尸=おおわれた布(しかばねとは異なる)」に「至
=行き詰まり」で、上から覆い隠して出入りを止め
た意。
●屋根で覆った家でありますが、主にその職業
のいえをあらわす。
舎(シャ)
「余=土をのばすスコップのさま」に「口=ある場所」
で、手足を伸ばす場所。休み所・宿営。
●からだをゆるめて休む所
舎人ー王公、高官などの近くに仕えて、家の雑用を
する者。
舎を道傍に作れば三年して成らず
家を道傍に作ろうとして、往来する人にいちいち意
見を聞いてい たら、三年たっても完成しない。
意見が多くで物事がまとまらないことのたとえ。
宿(シュク)
原字は、四角い物が縮んでしわのよったさま。それ
に「人」と「宀」を付して狭いところに縮んで泊まる意
味。
●体を縮めて泊まるところ
昔の宿は木賃宿のようなもので、相部屋は当たり
前で、雑魚寝したんでしょうね。
宿世
現世に生まれる前の世、前世からの因縁、運命。
宅(タク)
「宀」に「乇=草が地下にじっと根を定着させたさま」
●じっと定着する住居
宅心
心の中に置いておく。忘れないでいること。
宅兆
「兆」は離れて遠ざかるの意味で、墓場のこと。こ
ちらは間違いなくじっとしていますね。
宇(ウ)
「宀」に「于=大きく曲がったさま」大きく丸いやね。
●大きなたてもの
宇宙
・天地古今。「宇」は空間的広がりて「宙」は時間
的広がり。
・天文学では、全ての天体を含む全空間。
・哲学では、秩序ある統一体としての世界。
庄
「广=いえ」に「土」で、のち荘(納屋)に当てて用い
られ、いなかの農家を表す。
●土間のある平屋
邸(てい)
「氐=あてる」に「阝=むら」で、諸侯か都に上った
とき宿泊に当てる場所
院(イン)
「阝=盛り土」に「完=垣」で、堅固なかきの意味。
●垣を回らせた大きな邸宅。宮殿。
宮(キュウ・グ)
建物の中の部屋が連なった形で、みやの意味。
●天使の住居・祖廟・神社仏閣・仙人の住居
今日一日幸運でありますように
2017.10掲載再考
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編