ことばの物語
〖駱駝〗
らくだ
♪月の沙漠をはるばると 旅のらくだやが
行きました♪
駱駝は砂漠の荷車であり、乗りものであります。
駱駝は偶蹄目(ヒズメが二つに分かれた牛の仲
間)で、一瘤駱駝(アラビア種)と二瘤駱駝(バクト
リア種)がいます。
先秦時代に西域から中国に伝来します。
(中国では双峰駱と表記されます。これ、二瘤駱
駝ということですね。)
漢語のラクダは匈奴のdadaが訛ったものだそ
です。
駱ーかわらげ・ラク
字の成り立ちは「馬」に「各=いたる」で、外来の馬、
ラクダの意味。
※「かわらげ=河原毛は、河原のように薄茶色の馬。
駝ーダ
字の成り立ちは「馬」に「它=同類でないもの」で、
異類の馬で、らくだ。
・駱駝は外来の異類の馬ということですね。
アラビアには「死というのは家の扉ごとに座り込む
駱駝である」という言葉があるそうです。どういう意
味かは書かれていませんでしたが、調べてみたら
群れを離れた駱駝は、どこへでも寝そべるとあり
ました。これからすると、どの家にも死はやって来
るということのようですね。
キリスト教では駱駝は節制と従順の象徴でもあり
その反面として、貪欲と傲慢の象徴でもあると。
またヨーロッパには「イヴを欺いた蛇は駱駝の姿
で、その上に悪魔の首領サマニエルが跨ってい
た」という伝承があると。イブを誘惑した後に悪魔
は蛇の姿に変えられますから、そのの前の姿は
気になるのも当然ですね。
新約聖書に次のことが書かれています。
<富んでいる者が神の国に入るよりは、駱駝が
針の穴を通るほうがやさしい。>
ここで疑問に思うのは、なぜ駱駝なのかですね?
調べてみると、どうもこれは誤訳であるらしい。
古代語のアラミック語からの訳書によるもので、
「gamla=ガムラ」には「駱駝」の意味の他に「縄」
という意味があるそうで、本来は「縄が針の穴に」
だそうです。これなら納得ですよね。糸を針の穴に
通すのにも手こずるのに、それよりも太い縄という
ことですね。
≪仏教語≫
〖位牌〗
いはい
仏教では故人の冥福を祈るために、故人の戒名
(浄土真宗では法名)などを記た木札で、主に仏
壇に置かれます。
位牌はもともとは儒教のもので、周の時代には
「木主」と言われ、後漢に入って故人の官名、姓
名を書いたところから「位版」と言われるようにな
ります。(高さ40cmもの大きさで、祖廟などに安
置されました。(祖霊崇拝は儒教からだそうです。)
これが仏教の卒塔婆と靈の依り代とする習俗
と習合して取り入れられたものであります。
日本には鎌倉時代に、禅宗と共に伝来しまし
た。
位牌には死後に作られる「順修牌」と、生存中に
朱文字て書いて作られる「道修牌・寿牌」というも
のがあるそうです。※
本来、戒名は仏門に入る時に出家者が沙弥
戒(出家者の守るべき十戒)を授かる時、師より
与えられるものでありました。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫