ことばの物語
〖腹中之書〗
ふくちゅうのしょ
七月七日は「七夕(たなばた)」ですが、この日は短
冊に字を書いて、字がうまくなるように願い、ま
た織姫にあやかり、針仕事が上手になるように
願う節句でありました。
それに加え、中国ではこの日に書物や衣類を虫
干しする習慣がありました。
<この日に、古代中国の晋国の郝隆(かくりゅう)と
いう者が腹を出して仰向けになっていました。
人が訳をその尋ねると「今日は虫干しの日だか
ら、自分の腹の中の書物を虫干ししているのだ」
と答えたました。>
この逸話から、腹まで書物がつまっているほど博
識であること自慢する言葉となりました。(世説新語)
※「世説新語」は中国六朝時代の劉義慶という者が
編纂。竹林の七賢など、後漢末から宋初期まで
の貴族、文人、僧侶などの逸話を集めた文言小
説集。
≪仏教語≫
〖悪魔〗
あくま
一般的に「あくま」というと、超自然的な邪悪な
存在とされますが、一神教の世界では主に他
宗教の神に対する蔑称であるようです。
現在、どこかの国で相手を殲滅するまでは戦
いを止めないと、とんでもないことをしでかして
いますが、これも悪魔退治と国民を洗脳している
のではないかな?
日本では災いを為す「モノ(物の怪)」を擬人的
に悪魔と呼ぶようになったといいます。
江戸時代には「天狗」をさしたようです。
この「悪魔」のもとは、インドのサンスクリット語の
「マーラ」の音訳「魔羅=まら」からで、意味は「障
害・破壊・殺者」ということであります。
これが仏教に取り入れられ、仏道修行を妨げる
悪神のことを指すようになります。
後に、ユダヤ教やキリスト教で神の敵対者を意味
するサタンの訳語に用いられます。
仏教では我々の中に潜む執拗な煩悩を「悪魔」
つまり修行を妨げるものとしますが、これが我々
の苦の根源であることを人々は知らずにいると。
この我々の中に隠れ棲む煩悩という悪魔の軍勢に
気付き、その一つ一つに対峙して調伏していって、
少欲知足の境地に到れば、輪廻転生の輪を断ち
切ることはさておいて、現世での「覚者」となること
ができそうですね。
※ 「煩悩」
心身を悩ませ、苦しめ、煩わせる精神作用。
貪(欲深さ)・瞋(いかり)痴(無智蒙昧)は根源的
な煩悩として三毒といわれます。
「少欲知足」
多くのものを欲せず、少しのもので満足する
ことで、「涅槃経」にあることば。
物欲・地位・名誉などに幅広く用いられます。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫