ことばの物語
〖鍾馗〗
しょうき
中国の道教の神様で、疫病除けの神様(日本
では疱瘡除けの神)であります。
五月五日の端午の節句に旗や屏風、掛け軸
などに描かれ飾られます。
日本では鍾馗人形が飾られますが、これは江戸
時代に入ってからだそうです。
鍾馗の姿は長い髯と中国の官服を着け剣を手に
持ち、大きな目でにらみつけています。
鍾馗は唐時代に実在した人物とされています。
<終南山という地に鍾馗という青年が住んでい
ました。
科挙の試験を受けトップ合格して状元という
称号受けます。ところが、玄宗皇帝は鍾馗を
謁見した時、そのあまりに怪異な姿を見て
称号を取り消しました。
鍾馗はそれに絶望し自殺して果てました。>
その鍾馗が疫病除けの神となるのは、次の話
しによるものであります。
<ある時、玄宗皇帝が熱病に罹り夢を見ました。
夢の中にし小さい鬼の虚耗(きょもう)が現れま
す。皇帝がそれを追い払うようにと兵を呼ぶと、
突然大きな鬼が現れて小鬼を退治します。
そして言います「自分は鍾馗といい、役人試験
に落第して自殺した者だが、自分を手厚く葬っ
てくれるなら、世の害悪を覗いてやろう」と。
皇帝が目を覚ますと熱病は治っていました。
そこで皇帝は画工を読んて、夢に現れた鍾馗
の像を描かせました。>
この逸話から、唐時代には年末に鍾馗像を門戸
に張って、厄除けをするという風習が生まれまし
た。清時代に入って、端午の節句の風習にとり
込まれるようになったといいます。
〖科挙〗
中国で古くからおこなわれていた官吏登用試験
で、貴族による世襲化の風潮を打開するため、
隋、唐時代に門閥の特権「九品官人法」を廃止
して設けられた制度でありました。
科挙というのは「科目によって人材を挙げ、用い
る」という意味からであります。
時代によって異なりますが、唐時代のには六科目
があり、その主なものが次のようなものであります。
秀才・・・政治上の意見。(策論)
進士・・・文才試験
明経・・・経書の暗記力
明法・・・法律の条文、およびその解釈。
かなり難しく「進士」試験以外は、受験者がほとん
どなく、進士のみが残ったようであります。
※その他の科目は一括され、諸科と称されるよ
うになったようです。
〖圧巻〗
あっかん
書物や催し物など一連のもののなかで、最も優れ
ている部分を言います。
これは科挙の試験で最優秀の「巻(答案)」を一番上
に載せ、他の答案をふ圧する形で、天子に閲覧し
てもらったところからから。
≪仏教語≫
〖人間〗
じんかん
通常は「にんげん」と読みますが、これを「じんか
ん」と読むと?
そう「人と人の間」、世間、人の世という意味で
サンスクリット語の「マヌシャ・ローカ」からだそう
です。
これは仏教語でありますが、「人」という意味に
使われるようになったのは、江戸事時代以降だ
そうです。
仏教で説かれる六道(天・人間・修羅・畜生・餓鬼
・地獄)は全て苦海であり、これから逃れられない
世界とされます。この苦海から逃れられた世界が
極楽浄土ということであります。
そして、ここに到ることを「解脱」といいます。
そのたの教えが仏教であり、仏の教えに身をゆ
だねなければならないと、法然は説いています。
信仰とは、理屈抜きでひたすら信じることであり
ますね。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫