ことばの物語
〖上善〗
じょうぜん
「上善は水の若(ごと)し」、争わないことを旨とする
言葉で、『老子』からであります。
<最高のまことの善とは、たとえば水のはたらき
のようなものである。水は万物の生長をりっぱ
に助けて、しかも競い争うことがなく、多くの人が
さげすむ低い場所にとどまっている。そこで、
「道」のはたらきにも近いのだ。
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そもそも、競い争うようななことをしないから
こそ、まちがいないものだ。>
(金谷治著「老子ー無智無欲のすすめ/講談社学術文庫」
より抜粋)
この逆を一つ一つ考えていくと、人に交わって生き
ていくうえで、この重要さがよくわかりますね。
俺が俺がの我を捨てて
お陰お陰の下で暮らせ (伝:良寛)
戦わずして人の兵を屈するは
善の善なるものなり (孫子)
※戦いで勝ったとしても、勝者側にも被害者はでる
し、其の間の労働力は低下し、生活に困窮する
ことになりますね。(争はずであります)
善ーよい・ゼン・セン
もとの字は「譱」。
字の成り立ちは「羊=姿が良い・めでたい象徴」に
「誩(ケイ)=口々に言う」で、よいことやめでたいこと
を口々にほめそやすで、すばらしい、立派である、
好ましいという意味を表す。
もう一つの辞書によると「羊=神への捧げもの」に
「誩=原告と被告の発言」で、神の正しい審判を受
けることで、その神の審判はよい結果である。
※「言」そのものが神の審判であります。
西洋で聖書に手を置いて「嘘いつわりことのない
ことを誓います」ということそのものであります。
言の元の字は「辛=罰として入れる文身(いれずみ)の
針」の下に「口=神への誓いのことば」で、不実がある
とき罪に服することを前提したのが「ことば」でありま
す。
「善」の反対が「悪」であります。
悪ーわるい・アク・オ
悪の元の字は「惡」。
字の成り立ちは「亞=上から見た古代の墓室の
象形」に「心」で、墓室に臨んだ時の心で、忌ま
わしい、わるいの意味。
※亞は四隅を切り取った形で、されは室の四隅に
悪霊が入り込まないようにとの意味があるそうです。
もう一つの辞書には、
「亞=四角に掘り下げた家の土台」で、くぼみ
に押し下げ゜られてくぼんだ気持ちを表す。とあ
ります。
ヒンドゥー教では争いを悪の根源としています。
仏教の神仏は、「おれがおれが」の神ではなく、
寛容な平和主義であります。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫