ことばの物語
〖化け猫〗
ばけねこ
日本で最も有名な「化け猫」の話しは、佐賀県の
鍋島藩の「化け猫騒動」ですが、これは実録とさ
れる「肥前佐賀二尾実記」を底本(化けの話し)と
して、鍋島藩のお家騒動を書いたものだそうです。
化け猫話しーその①
佐賀藩主・龍造寺氏が公儀の介入によって
重臣・鍋島氏に政権交代させられました。
龍造氏の恨みが化け猫となって、鍋島氏を苦し
めます。・・・・
そして、真夜中に女に化けた猫が行灯の油を
甞めていた時、その頭部の影が猫の姿として映
り正体がばれ、退治されます。
※昔の行灯の油は魚の油からてきていました。
化け猫話しー其の②
肥前佐賀藩の鍋島光茂は暴君でありました。
碁の相手を務めた臣下の龍造寺又七郎は、生
真面目で忖度ができず、光茂の機嫌をそこね
切り殺されてしまいます。
その知らせを聞いた母親は、飼い猫に胸中を
語り自害します。飼い猫はその意中を解したよ
うに母の血を甞めて化け猫となり、城中に入り
こんで夜な夜な光茂のところに化けて出ます。
これも最後にはて退治されてしまいます。
〖桃川如燕作「百猫伝ー鍋島の猫」要約〗
(原因をつくったのは呪われる方であり、共に死
んでしまうというの常道のようですが、妖怪と化
した猫だけが死んでしまうんですね。)
[猫の妖怪]
仙狸ーせんり
この場合の「狸」は「ヤマネコ」のことであります。
これは中国の妖怪で、歳をかさねて修行積んだ
ヤマネコが神通力を身に付け、化け物となって
人間の生気を吸うようになると。
猫叉ーねこまた
年取った飼い猫は尾の先が二つに分かれ、妖
怪にり人を食い殺してその人に成り代わったり
すると。
人の言葉を解し人語を話すことができると。
猫がまたいで呪いをかけることからこの名があ
ります。
猫魈ーねこしょう
飼い猫が三十歳になると、人間と同じ知能を
もち、霊力が備わると。
猫叉や化け猫、魑魅魍魎を従える妖怪にな
ると。
尾は根元から三本に分かれ、束ねると太い尾
になるそうな。
日本に中国から猫が渡来しますが、これは奈良
時代に経典を運んでくる際、鼠から経典を守る
ために猫が一緒に積み込まれたことによるもの
だそうです。
[キリスト教圏]では、猫は古くから民間で魔力が
あると信じられていて、これが魔術と結びつき
魔女がこのんで牝猫に変身すると考えられて
いました。神秘的で夜行性の生態から魔物でと
されていたんですね。
[エジプト]では全く逆で、バテストという猫の頭
部をもつ女性の神様でありました。
この神は太陽の熱を神格化したもので、夜に
なって眠りについている太陽を夜の蛇から守
るために寝ずの番をしていると。(もとは牝ライオン
の頭部でありました。)
別の話しとして、「死者の書」に猫はマトゥといい、
悪の象徴である沼の蛇アポピスと闘うという記述
があるそうです。
コダイエジプトでは猫を殺すことは過失であって
も重罪とされていました。また、自宅の猫が自然
死した時は、その家の者は眉を剃って悲しみを
表したといいます。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫