ことばの物語
≪きざしー兆≫
「兆」は占いの時の亀甲に現れた割れ目の象形
(占形=うらかた)で、きざしの意味であります。
和訓の「きざし」は、「牙=き」に「さす=何かが現れる」
からで、「牙」は角のようにとがって生える「芽」に通じ、
「芽生える」ことであり、これから「兆候」の意味へと
広がったと。
【二つにはじけ割れる】意味を共有する字
桃ーもも・トウ
「木」に「兆=割れる」で、きれいに二つに割れる木
の実。
和訓の「もも」は、三つの語源が考えられますと。
・「真実=まみ」の転じたもの ・「焼実=もみ」
・「百=もも」
この「百」が長寿の果実と合いそうですね。
桃と鬼門
東北の方向を鬼門といいますね。そこに邪気を払
うといわれる桃の木を植えるといいといわれます。
『山海経』によると、遥か洋上に島があって、そこ
の山に枝周りが三千里もある桃の木があり、その
東北の所に門を成した隙間があり、鬼が手入りし
ている。それを鬼門というと。桃は鬼封じでありま
すね。
仙桃(せんとう)
崑崙山の仙境に住む西王母の園に、三千年に
一度実をつけるという桃の木があり、それに実る
桃が仙桃であります。木の実はいろんな災厄を防
ぎ、食すると不老長寿を得るといいます。
邪気払いとされる所以の日本での話は、いざなぎ
のみことが黄泉の国から追ってくる鬼女(黄泉醜女)
に最後に投げた桃で退散させたと。
眺ーながめる・チョウ
「目」に「兆=左右に分ける」で、左右に障害となるも
のを分けて、視線を遠くに向ける意味。
跳ーはねる・チョウ
「足」に「兆=割れ目の象形」で、はじけ割れるの意味
に足をつけてはねあがる、つまずくの意味。「はねる」
と「つまずく」?どこに関係があるんだろうね。
跳舞(ちょうぶ)
おどりまうでダンスのこと。
跳梁(ちょうりょう)
はびこって気ままにふるまう。(跋扈)
銚ーすき・ほこ・チョウ
お銚子、酒器ですね。
「金」に「兆=割れ目の象形」で、田畑に割れ目をつけ
るための農具、すきの意味。また、「跳」に通じ、水を
跳ねあがらせる沸騰させる器の意味をあらわす。
千葉県の銚子市は、この酒器のように入口が狭く、
中に入ると広い空間がある地形というところから名付
けられましたと。
今日一日幸運でありますように
2017.10掲載再考
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編