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〖人気〗
にんき・ひとけ・じんき・ひとげ
何と読むかは文脈の前後で異なりますね。
同じ漢字であっても、読みと意味が異なる日本語、
日本語を学ぶ外国人を「ちんぷんかんぷん」にし
てしまう日本語の難しさの最大の壁なのかもしれ
ませんね。
にんき・・・世上の人の気受け・世間一般の評判
ひとけ・・・人の気配。
じんき・・・その地域の人の気風。
ひとげ・・・人間らしいこと・人並
※「じんき・ひとげ」はあまりめにしませんね。
珍紛漢紛 なにがなんなのが分からない・話の
珍糞漢糞 内容が全然理解できない。
もとは、特に言葉が全く分からないということから
であります。これは儒学者の用いる漢語をひや
かしてまねた造語でありました。
今でも漢字だけが並んだ漢文は珍文漢文ですね。
〖日本と中国で意味の異なる漢字〗
[日本] [中国での意味]
手紙 トイレットペーパー(なるほど納得)
汽車 自動車のこと(きしゃ=火車)
聞く 嗅ぐという意味(きく=聴を用いる)
読書 勉強(本を読んで知識を得るとい
う意から)
老婆 妻のこと(北宋時代のある漢詩
に基づくものだそうです。)
ちなみに、妻のことを日本、中国
ともに「細君」というのは、漢の武帝
側近・東方朔が武帝に対してへりく
だって自分の妻をそういったところ
から広まって定着したものだそう
です。(細=小ということ)
高校 大学のこと。(高校は高級中学校
だそうです。)
鮎 なまずのこと。(魚+粘)から。
この字は不思議で、漢語であり
日本での造語でもあります。
それは神功皇后が戦勝を占って
釣り上げた魚が「あゆ」で「魚+
占」であり、当時、「鮎」の漢字は
日本では知られていなかったと。
≪仏教語≫
〖沙汰〗
さた
特に仏教語と特定されていないようですが、仏教
では沙汰=揀択(けんじゃく)と見るようです。
「信心銘」に「至道無難唯揀択を嫌う」とあります。
「沙・汰」は共に水に晒して選び分けることを示し
ていますが、このようにして不純なものを洗い流
して砂金を求めるように、不用な物を去り有用な
ものを取ることを揀択(好き嫌い・分別)遺棄(捨て去る)
というそうです。
つまり「分別するな」ということであります。
表裏・上下・有無・生死・損得などというが、これ
らはもともと一つのものが二つに分かれたもので
あり、突き詰めるとーに帰着するというこでありま
すね。
日常生活で、何事にも好き嫌いをなくせば、苦
しみから抜け出せるものでありますね。
「沙汰」は日常語として、いろんな意味で使われ
ています。
①知らせ・便り・通知
御無沙汰など
②評判・うわさ
世間の沙汰など
③さしず・命令
追て沙汰をするなど
④しわざ
狂気の沙汰など
⑤理非、善悪を選び分けること・さばき
「沙汰の限り」(善悪を論じる余地のないこと)
もってのほか
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫