言葉の物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖愛苦し?〗
あいくるし
「苦し」との関係は不明だそうですが、あながち
間違いでもなさそうです。
キリスト教は愛の宗教、仏教は慈悲の宗教、と
言われますが、仏教では「愛」は「渇愛」に到る
ものとして、避けるべきものとされています。
「愛」は執着を生み、遂には「愛狂し」となってストー
カーになってしまいかねませんね。
この「愛くるし」は「愛くるしい」からで、この場合の
「愛」は、愛敬、愛相ということで、「くるしい」は
古語「くろしい」で、名詞に付して「そのような様
子」ということであります。
従って「見るからにかわいらしいさま」を言った
ものであります。
幼子はまさしく「愛くるし」で、その時ばかりは私
たちも菩薩様の愛敬相になっちゃいますね。
その時、私たちの心も菩薩心「慈悲の心」というも
のを知ります。
「慈悲」とは端的にいうと「相手に喜びを与え(慈)、
苦しみを除く(悲)こと」であります。
ちなみに「愛敬」は菩薩様の相貌を語源とします。
≪仏教語≫
〖閻魔大王〗
えんまだいおう
インドの死者の主「ヤマ」が仏教に取り入れられ
冥界の王として死者の生前の罪を裁く神とな
りました。
「閻魔」はこの「ヤマ」の漢音訳て、意味は「縛
=罪人を捕縛する」ということであります。
これが中国に伝わると、道教の冥界・泰山府の
泰山君と合体し、冥界の十王の一つとなります。
中国の泰山は死者の霊が集まる所とされてい
ました。
中国で作られた「十王経」は仏典の偽典とされ
されすが、日本でもこれに基づき、死者の冥界の
旅路が作られます。
閻魔医王の法廷には「浄玻璃鏡」というものがあ
って、亡者の生前の行いが映し出され、し偽証は
すぐにばれるさそうで、偽証した者はその場で舌
を抜かれますと。(現代の監視カメラですね)
平安時代の高官・小野篁は夜、六道珍皇寺の
井戸から冥界に向かい閻魔大王の補佐を務め、
明け方、京都嵯峨野の福生寺(明治期に廃寺と
なっています)から現世に戻ってきたというお話
しがあります。
「ヤマ」はインドの最古の聖典〖リク・ヴェーダ〗
で、人類最初の死者とされていました。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経の文庫