ことばの物語
≪かりー仮≫
仮名(かな)
音節文字で平仮名と片仮名があります。とは、誰でも
知っていることですね。ではこの反対派は?
真名(まな)、つまり漢字のことでありますね。「仮名」は
字のごとく「仮の文字」という意味であります。もとは、
補助として使われたんですね。
最初にできたのは片仮名で、漢文を読む時の補助と
して使われ、公文書を書くのにも利用されました。
今はほとんどが外来語に使われますね。
平仮名は、もとに万葉仮名があり、これを簡略したも
ので、女性が多く用いました。紀貫之の「土佐日記」
は、平仮名を用いて「をとこもすなる日記といふものを、
をんなもしてみんとてすなり」と書いています。
仮面(かめん)
英語でmask。いつも使うマスクは仮面なんですね。
宗教儀式、舞踏、演劇で用いられ、仮の何物かに
なりきることでありました。
中世ヨーロッパの仮面舞踏会(マスカレード)は、顔
を隠し、何者か正体を隠すための物でありました。
泥棒さんのほっかぶりなども、これと同じようなもん
ですね。
日本の「能」は仮面劇であります。能では仮面を
「面=おもて」といいます。面を少し上げたり下げた
りするだけで、悲しみの顔になったり笑った顔に
なったりするようであります。
ラテン語では「ペルソナ=仮面」と言われ、人や人
格を表すようであり
ます。ちなみに「パーソン(人)」はこの言葉を語源
とします。
心理学では外界に適応するために人は仮面をか
ぶるとされ、これを社会的、表面的人格といいます。
(ユング心理学)
ギリシアのディオニューソス祭りで使われた仮面
は、使い終わると祭壇に捧げられたといいます。
たぶん、これは精霊などが宿と考えられたのかも
しれませんね。
仮ーかり・カ・ケ
字義は ・かり、いつわりー仮病など
・かりに、もしも
・かりる(借) ・かす(貸) 借りるも貸すも、
一時的なもので仮のものというところか
らでしょうか・
字の成り立ちは、もとの字が假で「人」に「叚=手
でおおいをあしらいかぶる」で、仮面をかぶる人
の動作を表す。
中身が空で表面だけ、一時だけみせかけるなどの
意味を含む。
世間虚仮唯仏是真(せけんけこゆいぶっぜしん)
聖徳太子の言葉で、この世にある物事はすべて
仮の物であり、仏の教えのみが真実である。
2017.10掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編