ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖端午〗
たんご
「端午の節句」というと、男の子の成長を願う節句
で、五月五日でありますね。
「端午」は「端=はじめ」の意味で、月の初めの「十
二支の午(うま)の日」という意味で、健康を祈願し
て、この日に病気を祓うと言われる薬草の菖蒲を、
門に飾ったりお酒に入れて飲んだりする風習があ
りました。
※古く中国の慣習で、十二支を各く日に当ていま した。
その中でも特に、五月は病気がはやりやすく「悪
月」とされ、その中でも奇数の重なる五月五日は
最大の凶日とされていて、この日だけが節句として
残りました。
そこから「午=ご=五」の語呂合わせから、この名前
が残されたようです。
「菖蒲の節句」といわれるのも、これによるものであ
ります。
日本では江戸時代に「菖蒲」が武道を重んじるとい
う「尚武」に通じるとして、盛大に祝われるようになり
ました。鎧飾りはこれによるものですね。
供される「鯉のぼり」は日本独自の風習で、「登竜
門=立身出世」からで、初期は黒の真鯉の吹き流し
のみでありました。
この真鯉に描かれる「金太郎」の絵は、金太郎が自
分より大きい恋を捕まえたという言い伝えによるもの
であります。
「柏餅」は「子孫繁栄」をねがったもので、柏の木は
新芽が出てから、古い葉が落ちるところからであり
ます。
「粽(ちまき)」は戦国時代の清廉の政治家・屈原に
ちなむもであります。
屈原が政争に負け、失意のなか汨羅江で入水自
殺を遂げます。それを悼んだ民が、屈けんの遺体
を魚が食べないようにと、粽を造ってか汨羅江に
投げれいたと。
その命日が五月五日だったそうです。
≪仏教語≫
〖露地〗=露路
ろじ
「ろじ」、「露(あら)わな土地」ということですで、一般
には、屋根などのない露出した地面、人家の間の
狭い道路の意味でありますね。
「露路」とも表記されますが、仏教語としては大きな
意味が含まれています。
これは野外に坐る修行のことで、また全ての煩悩
束縛を脱却した境地とも言われます。
屋根などの覆い(煩悩で包まれている)を取り払っ
たという意味合いであります。
これを表すのが「火宅の譬」であります。
<『火宅三車の譬』
長者の出入り口が一門の屋敷がありました。
ある時、その屋敷が火事になりました。
中にいることも達は、遊びに夢中になり「早く外
に逃げなさい」と言っても、遊びに夢中で気に
留める様子がありません。そこで長者は子共たち
の大好きな羊車・鹿車・牛車が庭にあるよというと、
子供たちは喜び勇んで外に出来ました。
そして出てきた子供たちに大白牛車のおもちゃを
与えました。>
「火宅」は煩悩に覆われた世界をあわらわし、庭は
仏の教えで、煩悩から救われた世界を表していま
す。
車はそれそぞれ悟りに到る修行で、羊車は声聞
乗、鹿車は縁覚乗、牛車は菩薩乗を表している
と解釈され、大白牛車は大乗仏教の本願とする、
大衆を苦しみから救う菩薩乗であります。
(三車の解釈は宗派によりなるそうです。)
これが、室町時代に寺や屋敷の内外の地や、通路
を意味するようになり、茶道が興ると、茶室に配さ
れた庭をも言うようになりました。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経の文庫