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〖渾沌〗
こんとん
渾沌とは、天地開闢の初め天地がまだ未分割の状態
を指します。
これから「物ごとの区別、なりゆきのはっきりしないさ
ま」を言います。
「渾沌」は「渾敦」とも表記され、
「渾沌」は中国神話に登場する神、または怪物とされ
ます。
『荘子』に「渾沌」の寓話があり、こちらの渾沌は「神」
とされる方であります。
<ある時、南海の帝と北海の帝が中央の帝・渾沌の
所で一緒になりました。混沌は彼らを快くもてなしま
した。彼らはこれに気をよくして「人間には眼・鼻・耳
・口など合わせて七つの穴があり、見たり聞いたり
味わったりしする。渾沌神にはこれが無いから、お
礼としてこれらの穴をあけてあげょう」と、混沌神に
穴をあけてあげますが、憐れや渾沌神は死んでし
まいました。>
南海の神は儵(しゅく)といい、北海の神しは忽といい、
「儵忽」というと「たちまち・瞬間」という意で、「はかな
きもの・有限の生命・人間の作為」を象徴します。
このお話しは人間の作為を加えることによって、結
果的には破壊、死滅を招くという寓意であります。
人の手を加えないで、何もせずあるがままに任せる。
人も宇宙の大自然の一部であり、自然のままに生
きて天寿をまっとうすべきであると。
つまり、老荘思想の無為自然ということでありま
すね。
〖怪物としての渾沌〗
『山海経』に登場する混沌は、身体が黄色い袋の
ようで、のっぺらぼうのの顔をしていて、脚が六本
と四枚の翼があります。
『神異経』に登場する渾沌は、犬のような姿で長
い毛が生え、脚は熊に似ていると。
眼はあるが見えず、みみもあるが聞こえず、いつ
も自分の尻尾を咥えぐるぐると回り、空を見ては
笑っていると。
善人を忌み嫌い、悪人に媚びを売るといいます。
ギリシア語で渾沌は「カオス」といい、意味は
大口を開けた」「空っぽの空間」の意味だそうです。
ギリシア神話の原初の神で、タルタロス(奈落)、
ガイア(大地)、エロス(愛と欲望)、エレボス(暗黒)、
ニュクス(夜)を生みました。
≪仏教語≫
〖八相成道〗
はっそうじょうどう
お釈迦様の生涯を特徴づけるものであります。
①下天・・・兜率天(とそつてん)から下ります。
※兜率天は菩薩が住む天の世界。
菩薩であった釈迦が仏陀になるために
人間界にやってきます。
②託胎・・・母摩耶夫人の胎内に宿る。
摩耶夫人は白象が体内に入る夢を見る。
③降誕・・・母の右脇から誕生。
生まれてすぐに七歩あるいて右手で天、
左手で地をさして、天上天下唯我独尊
と唱える。
④出家・・・真理の法を求めて家庭生活を離れる。
生・病・老・死の四苦を諦めるための
修行に出る。→四門出遊
時に釈迦二十九歳
⑤降魔・・・悟りの為に種々の障害を破る。
瞑想中に悪魔が成道の邪魔をする。
⑥成道・・・悟りを得る。
悪魔を退け菩提樹の下で正覚し
仏陀になる。
時に三十五歳
⑦転法輪・・・鹿野苑における最初の説法。
梵天の勧請で説法。
四諦・八正道・中道
⑧入涅槃・・・クシュナーラで大往生を遂げる。
釈迦八十歳
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勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経の文庫