ことばの物語
≪はかー亞・墳・墓≫
「亜」がなぜはかなのか?
「はか」とは訓じませんが、じつはこれ「墓穴の土台を
上から見た形」であります。意味は「つぐ」「みにくい」
であります。
何ぜ「つぐ」の意味なのかというと、先祖の墓を造って
祀るのは次の世代で代々次いでいくものというところ
からと。
亜聖(あせい)
孔子の弟子の顔回、もしくは孟子のことを言ったもの
で、道徳、才知が聖人である孔子に次ぐ者ということ
でありますね。
亜流(ありゅう)
同じ流れをくむ人。日本ではまねをする人のことを言
います。
亜細亜ーアジア 阿弗利加ーアフリカ
亜米利加ーアメリカ
【墓穴を共有する字】
唖ーア
「口」に「亜=墓穴・土台となって閊(つか)える」で、喉
か閊える。
言語が発声できないこと。
堊ーしろつち・アク・ア
亜室の壁に塗るしろつち。堊筆という白墨(チョーク)の
事であります。
悪ーわるい・アク・オ
「心」に「亜=墓室」で、墓に臨んだ時の心、いまわしい、
わるいの意味。
日本では「猛々しく強い」という意味にも用いられます。
悪源太義平というと源義朝の庶子源義平のことで、
幕府や荘園主に対抗する鎌倉時代末の地頭、御家人、
名主などを悪党と言いました。
墳ーはか・ボ
「土」に「賁=噴に通じ、さかんにふきだす」で、土が噴
出したように盛り上がったはか。
墳墓の地
祖先代々の墓のある所。故郷。
墓ーはか・おくつき・ボ
「土」に「莫=草むらに火が沈むで、おおいかくす」で、
死者を土で覆い隠すこと。
墓石を今では「墓」というようですが、これは目印、つま
り墓標でありました。墓に石を上にのせるのは、昔の
屈葬で死者に石を抱かせたことの名残であるようであ
ります。
神道では奥津城(おくつき)といい、「奥深いところに
あって外部か遮断された境域」という意味ですと。
インドでは、ガンジス川に遺体を流す水葬で墓はない
とあり、キリスト教は最後の審判での復活のため、土
葬であります。
我が骨を動かす者に呪いあれ
シェイクスピアの墓の碑文
2017.9掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編