ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖指南〗
しなん
「しなん」というと「教え導くこと」ですが、漢字表記
は「指南」、南を指すと書くのでしょうか?
これは次の中国の伝説によるものであります。
<神話時代に「涿鹿(たくろく)の戦い」というのが
ありました。
の後を継いだ黄帝(軒轅)の王座を狙って悪神・蚩
尤 (しゆう)が戦いを挑みます。
蚩尤は濃霧を起こし、風伯、雨師を使って大風、
大 雨を降らして、魑魅魍魎の妖怪軍、銅頭鉄額
の怪神軍などをけしかけ、黄帝を悩ませます。
そこで、黄帝は常に南を向く人形を取り付けた
指南車で、目くらましの濃霧を乗り越え、天上から
自分の娘の魃(ばつ)を呼び出し、風雨、濃霧を退け
て蚩尤に勝利します。>
※蚩尤・・・戦争の神とされる一面があり、人身牛蹄、
四面六手、銅の頭、鉄の額を持ち、鉄石を好
んで食べたと。蚩尤が神とされるのは、これを
信仰する部族があったようです。
この話は、部族間の争いが物語化されたもの
のようで、例によって敗者は悪者なってしまう
んですね。当然その者たちの神は悪神でなくて
はならないってことですね。
〖魃〗
ばつ
「旱魃」は「ひでり」のことですね。
「旱」は「日=太陽・日光+干(かわく)」からなり、それ
に「魃=ひでりの神」を付したものが「旱魃」で、黄帝
の娘であります。
頭がつる禿でありますが、これは彼女の体内に大
量の熱気が充満しているためだそうです。
前記の話しのように、父の黄帝から命じられて天
より下り、その熱気で風雨や濃霧を消失させます。
戦いは終わりましたが、魃は精力を使い果たしもは
や天に昇ることができなってしまいました。さそのた
め、地上は熱気で干上がってしまいます。
そこで、黄帝は北の方に追放し、田の神の叔均に
そこから出回らないように監視させます。
彼女はしばしば監視の目をくぐって逃亡を企てます。
そこで人々は旱にあうと、田の堰や溝のあたりを掃
除して「神よ、北に行きたまえ」と唱え祈ったと。
≪仏教語≫
〖少欲知足〗
しょうよくちそく
欲望は野放しにすると限りがなく、さらなる欲望を
招き、常に欲求不満の連続をまねきます。
それを防ぐのが「少欲知足」、つまり「足るを知る」
ということであります。つまり、一つ一つそれだけで
満足するということであります。
起きて半畳、寝て一畳
天下とっても五合半
人が占める広さは、起きている時で半畳、寝てい
る時は一畳でたりる。一日食べてもせいぜい五合半
の量で済むということであります。
〖金輪際〗
こんりんざい
「金輪」というと仏教の世界観で、大地の下に金輪、
水輪、風輪があり、その大地の底と金輪の境の際
が金輪際であります。つまり地の底の底というところ
から、日常語として物事の極限、つまり強い決意
をもつて否定する意味に用いられます。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経の文庫