ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖権力の座〗ー玉座
けんりょくのざ
権力の座のトップは君主であります。
これを「万乗の君」といいます。
中国の周の制度で、戦時に直轄領から兵車を出すこと
になっていて、この兵車一万台出せる大国のことを
「万乗の国」といい、そこの君主が「万乗の君」であり
ます。
一方、「千乗の君」というと、兵車千台を出せる大諸侯
をさします。
※諸侯とは、王から封土を分与された一族や功臣の
ことで、領主階級のことであります。
〖万乗の君も罪を一士に得れば
社稷それ危うし〗
「天子も一人の士の怒りに触れるようなことをすると、
国家が危うくなる」ということで、君主は国民に怨まれ
るようなことはしてはならない」と言うことであります。
※この場合の「士」は、学問や知識を備えた賢人と
いうことであります。
『中国古典100話』山口謡司著/知的生き方文庫に
次のように書かれていました。
<自制を知らない人が権力を持てば、組織を我がもの
のように利用することになる。・・・・・・
賢者は小さい事であれば、それを取り上げて君主を
批判することはないだろう。しかし、国家が傾くほどの
事を為せば、ほうって置くわげがない。・・・・・
「権力」の「権」とは、本来物の重さを量るための天秤
を意味した。つまり「平衡を保つ」ということである。>
「権」の原字は「爟」で、「雚」は「二つの頭と二つの
口+隹(とり)」で、雌雄が仲良く並んでいる鸛(こうのと
り)の原字で、同じものが左右に揃うということを示す。
「権」は、片方に重りをつけて棒が平行になるように
量る情景を示したものであります。
このように権力は、平衡を図って人を操り支配する勢
力ということであります。
フランス国旗(トリコロール)は「自由・平等・博愛」を
表しています。これを保障するのがまさしく「国家」では
なくてはならないと思いますね。
〖ダモクレスの剣〗
ギリシア神話にあるお話し。
<全シケリアを統治する僭主ディオニュシオス二世
の臣下ダモクレスはある日、僭主の権力と栄光を
羨ましく思い追従します。
後日、僭主は饗宴にダモクレスを招待し、自分の座
っている玉座に彼を坐らせます。そして、ダモクレス
がその玉座の真上をふと見ると、頭上に細い糸で
吊り下げられている一振りの剣に気付きます。
僭主はこのようにして、ダモクレスに僭主の立場の
危うさを示して見せました。
これから、危険、または身に迫る一触即発の危険
状態の喩に使われます。>
≪仏教語≫
〖悪口〗
あっく
通常は「あっこう・わるくち」と言って、人を悪く言うこ
ですが、仏教では「あっく」といいます。
身・口・意から生じる汚れを三毒といい、その内の
口による汚れのことをいいます。
これには四つの悪(四悪業)があります。
妄語ー嘘をつくこと
綺語ー真実ではない飾り立てた言葉
悪口ー他人を見下し、馬鹿にし、傷つける言葉
両舌ー相手によって違うことを言う。(二枚舌)
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ