ことばの物語
故事のある言葉
仏教からの言葉
〖鶴〗
つる
古代中国の伝説おいて鶴は、仙界に棲み仙人の乗り
物とされていました。
また、鶴は身体に邪気をためないと言われるところか
ら、吉祥と長寿の象徴でもあり、鳳凰の次に珍重され
ました。
吉祥と長寿の象徴さとれるとのこの考えは、平安初期
に日本も伝わりました。
仏典に「鶴は雷鳴によって懐妊する」という記述がある
そうですが、実在の生き物でありながら、架空の聖獣
のようなお話しですね。
『鶴林=かくりん』という言葉も仏教からで、これはお釈
迦様が入滅した場所のことで、僧寺や寺の樹林をさし
ます。
お釈迦様がクシナガラ城で入滅した時、取り巻いてい
た沙羅双樹が白鶴のように真っ白になって枯れたとい
うお話しからであります。
「多くの人の議論や意見を押さえる力のある人の一声」
を「鶴の一声」といいますが、これはめったに鳴かない
鶴が鳴くと、その声は大きく迫力があり、一瞬驚いて黙
ってしまうほどのものであるところからだそうです。
もともと「つる」は「隺」でありました。
漢字の成り立ちは「冂=枠を示す符号」に「隹=とり」で、
高く飛ぶ情景を示したものであります。これに限定記
号の「鳥」を付したものが「鶴」であります。
和訓の「つる」の語源は「多く連なって(つるむ)飛ぶ」と
ころから、また大きくて「すぐれるーすぐるーつる」と音
転したものとの説があります。
ちなみに、英語ではCraneで、クレーン車の語源にな
っています。
〖相性のよい植物と動物の図案〗
鶴に松
共に長寿であるところから。
梅に鶯
春を告げる花と鳥。
唐獅子に牡丹
獅子の身中には虫がいて、それが獅子を死に至らし
めるという。この虫を唯一殺すことができるのが、牡丹
の朝露といわれ、そのため獅子は牡丹の下で眠ると。
竹に虎
猛獣の虎でも像にはかなわないそうで、象に追われる
と竹藪に逃げると。そうすると像は竹藪には入ることが
できなくなるということですね。
≪仏教語≫
〖可耕心田〗
かこうしんでん
「心の田畑を耕す」ということですね。
お釈迦様が托鉢している時、ある男が「主教者予よ、
私は田を耕し種を蒔いて食を得ている。あなたも自
分で種を蒔いて食を得てはどうか」といいます。
それにお釈迦様は「私も耕し種を蒔いている」と答え
ます。
すると男が言います「私はあなたが田を耕している
ところを見たことがない」と。
するとお釈迦様は「私は私の心の田を耕しています」
と答えました。
私たちは目的をもってこの世に生まれてきたわけで
はない。つまり、人生そのものには目的はないという
ことですね。ならば、何を生き甲斐とすればよいので
しょうか。
宗教色を別にすれば、お釈迦様の言う通り自分自身
を耕し、自分の能力の可能性を追求し精一杯に生き
る、それを生き甲斐としてはいかがでしょうか。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
