ことばの物語
≪泰斗ーたいと≫
泰斗
泰山北斗の省略で、学問や芸術などの分野で、肩を並
べる者がいないほど優れている人。人々が仰ぎ見る存
在であります。
そのたとえが中国の五嶽の一つの泰山であり、星界の
中心的存在である北斗(北辰:北極星)であります。
この語の由来は、「唐書 韓愈伝」の中に書かれていま
す。
<韓愈の死後もその学問は、盛んにおこなわれ、学に
志す人々は彼を泰山北斗のように仰いだ>と。
韓愈(韓退之)
唐宋八大家の筆頭に置かれている唐時代の文学者で
あります。
四六駢儷体が技巧に走り、内容が希薄になっているの
を批判して、それ以前の自由散文体を復活させました。
これ以後、一千年に及ぶ中国の散文の文体の主流に
なります。
推敲
文を作るのに字句をさまざまに考え練ることを言います
が、この語源となった話に韓愈が出てきます。
<科挙の試験の為に都に出てきた賈島(かとう)は、ロ
バに乗って詩を作っていた。「僧は推す月下の門」い
や「僧は敲(たた)く月下の門」はてどちらがいいかと
思案します。そして、都の長官の韓愈の列に突っ込
んでしまいます。韓愈の前につきただされた賈島は
事情を聞かれます。それを聞いた韓愈は「それは敲
くの方かいい」とアドバイスします。これから後、二
人は子弟の関係になっていくのでありました。>
泰山(たいざん)
むかし、封禅の儀式が行われた山として有名でありま
す。封禅とは、天子が天と地の王に即位を知らせ、天
下泰平であることを感謝する儀式であります。
道教では、死者の集まる霊山とされ、この山の神が泰
山府君といわれ、人の寿命と福禄を司るとして祀られ
ています。
泰山府君は佛教に取り入れられ、閻魔大王の書記の
役を担っています。
【泰】ーやすらか・タイ
甲骨文字では「水」に「大=伸びやかな人の象形」で、
やすらかの意味。
泰山は土壌を譲らず
この句の後に「故に能(よ)く其の大を成す」と続きます。
泰山はわずかな土もえり好みはせずに受け入れるか
ら、大きくなることができた。このように大成しようと思
うなら、度量を大きくして広く受け入れよということであ
ります。
泰山を挟(わきばさ)んで北海を超ゆ(孟子)
不可能なことのたとえ
泰にして驕(おご)らず
君子の理想的な態度をいったもので、重々しくどっし
りと落ち着いているが、驕り高ぶることがないという
こと。
泰西
西の果て。西洋諸国のこと。
西洋の名画を泰西名画といいます。それ以外に使わ
れるのは見たことはありませんが。
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
