ことばの物語
≪ことのはー言・端≫
〖ことば〗
上古には「ことば」という語は、ほとんど見かけないということです。
漢字が中国から伝来した時、「言=こと=事」として、同じに用いら
れたといいます。つまり、「言」はそのまま「出来事」になるものと
考えられていました。→言霊(ことだま)の考え
これではとても不便でありますね。そこで、「言=事」とは異にする
「事を実現するものとは別に、口先だけの軽い物言いとして、
「言端」というものが生まれました。また、「言羽」という表記もされ
るようになりました。(ことの端くれ、羽のように軽い言ということ)
中古に入って、現代で用いる「言葉」という表記に変わっていきま
した。
〖古今和歌集ー仮名序〗(紀貫之著)に、下記のように出ています。
<やまと歌は人の心を種として、萬(よろず)の言の葉と
なれにける。>
これは、葉のようにたくさんあるという意味であります。
【言霊ーことだま】
「言」には霊力があるという考えであります。
<敷嶋(しきしま)の日本(やまと)の国は言霊の佑(さきは)う
国・・・・>
と歌われています。
声に出した言葉が現実に影響するということであり、今日にも
残る「忌み言葉」なとはこの流れであります。
考えようによっては、ものを動かす魂のある生き物ともいえます。
「こちらおいで」と言うとやって来ます。
「ばか」というと怒ります。
「いいこだね」というと子供はにこにこと嬉しそうにします。
人を蔑むようないじめの言葉は、もはや暴力でありますね。
【ことわざ】
何かを実現させる力を持つ特別な言葉や、実現した行いに
根拠や意味与えるような言葉ということですね。
諺(ことわざ)の語源は「言業=ことわざ」からでありのす。
本来の意味は「言葉と行いが連携す」という意味でありました。
ちなみに「寿=ことぶき」は「言+祝(ほ)く」からであります。
寿(ことほ)ぐというと、言葉で祝福するということですね。
言ーいう・こと・ゲン・ゴン
字の成り立ちは「辛=取っ手のついた刃物」に「口=誓いの言葉」
もし不信があるときには、罪に服することを示したもの。
(補)
音に区切りをつけ特別の発音を作ると、特定の意味を持つ。
このことを示すのに「辛=刃物」の字が付いている。
言行は君子の枢機なり
言行と行動とは、学問・修養に志す君子にとって最も重要なもの
である。
(それにしては、諸国の上層部の人たちには、この逆の人が多い
ようですね。国民に困難なことを強いていて、自分は別と言わん
ばかり)
言に訥にして行いに敏
口は重くてなるべく控えめで、実行は敏速にする。
実行が大切で、言葉は末であるということ。
言語道断(こんごどうだん)
言葉で述べられないほどひどいこと。もってのほか。
もとは仏教語で、言葉で説明できない奥深い道理ということ
でありますが、言語による認識か尽きない限り、苦も尽きない
とされ、この言語を断ったところに悟りがあるとします。
端ーはし・は・はた・タン
字の成り立ちは「立」に「耑=布のはしがそろって垂れるさま」で、
右と左がそろってきちんと立つこと。
【字義】
・はし・・・垂れ下がった布の端。転じて、物事の一部分。
→端緒・末端
・ただしい・・・両側に垂れた布の端がそろうように、左右の均衡が
とれているさま。→端正
・左右を水平にそろえて持つ。
→端茶(茶碗を両手ですいへいにささげる。)
・反対のものがそろって、一対となったもの。→両端
・異端・・・前と後、はじめと終わりがそろわず、食い違って均衡を
欠いた説。偏った邪説。(主に、キリスト教に反する他宗
のことをさし、仏教ではこれを外道といいます。)
・端倪(たんげい)・・・物事の糸口を見て取ろうとする。
「端」は両手で捧げてみる。「倪」は目を細めてみる。
転じて、おしはかる。推測すること。
・端麗(たんれい)・・・姿や態度が整って美しいこと。
誤字脱字御容赦ください。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社) 字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
