ことばの物語
≪がんだれー厂≫
「厂」を「がんだれ」というのは、「雁」の略字を「厂」と書く
ところからで、意味は雁とは関係なく、「けずりとられたが
け」の意味であります。
ちなみに、「雁」は「隹=ふるとり」の部首にはいります。
仄ーほのか・かたむく・ソク
「厂=がけ」に「人」で、人が危険ながけで身を斜めに傾
ける意味で、かたむく。
仄日(そくじつ)
かたむく日で、夕日のこと。斜陽。
仄聞(そくぶん)
うわさ。ほのかに聞く。風の便りに聞く。
厄ーわざわい・ヤク
「厂=がけ」に「卩=ひとのひざまずいたひざがしら」で、
木のふしぶしのふくらんだ部分を意味する。
厄介(やっかい)
めんどうなこととか、世話になることとして使われます
が、これは他人の苦しみを助けることをも意味をする。
厄年(やくどし)
陰陽道で、災難に遭う可能性が多い年、忌み慎むべ
き年。
ものの本によると、四国の巡礼地八十八か所は、
子供の厄年十三、女の厄年三十三、男の厄年四十二
を合わせた数だそうです。
厚ーあつい・コウ
「高の字をさかさまにした形+厂」で、土が分厚くた
まったがけを意味する。上にたかく出たのを「高」と
いい、下にぶあつくたまったのを厚というと。
厚貌深情(こうぼうしんじょう)
顔つきは親切なようでも、心の中は奥深くて考えて
いることがわからない。人の心の知りがたい喩。
詐欺師の常套手段のようですね?
原ーはら・ゲン
「厂=がけ」に「泉」で、がけ下からわき始めたばかり
の泉の意味。
源の原字で、みなものと意味を表す。
原泉混混として昼夜を舎(お)かず
泉はこんこんと昼夜を問わず湧き出る。
休まず努力するたとえ。
厭ーあきる・いとう・エン・オン
「厂=がんせき」に「猒=奄に通じ、おおう」で、岩石
でおおう、おしつぶす
の意味を表す。
厭離穢土(おんりえど)
穢土とは「けがれた国土」、現世のことですが、こ
れを離れて清浄な国土である極楽浄土に往生す
ることを願うことであります。
この世を穢土にしたのは人であります。
夏目漱石は『草枕』の冒頭でこう書いています。
<山道を登りながらこう考えた。
智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにく
い・・・・・
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人で
ある。
人の世が住みにくいからといって越す国はあるま
い。
あれば人でなしの国へいくばかりだ・・・・>
浄土は仏の国。煩悩具足の人が往生したとて、
人にとって果たして良き国かな?
2017.11掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編