ことばの物語
≪つくえー几≫
「几(キ)」は机のもとの字で、脚つきの台の省略形。
つくりにおかれると「きにょう」となり、冠におかれ
ると「かぜかんむり」といわれます。これは、風の
省略形と「几」が酷似しているところからと。
「かせかんむり」の国字
国字は日本で造られた漢字のことであります。
凧=たこ
「凧凧上がれ、天まで上がれ」のたこで、「たこ
のぼり」といわれます。
字の成り立ちは「几=風」に「巾=ぬの」。
上方では「いか」と言われるそうです。語源はも
うお分かりですね。
そう、海の蛸(たこ)と烏賊(いか)の足のように、
凧につけられた長い紙の尾ヒレからであります。
漢語では「風筝」と書くそうですが、別の字書に
は「風筝」は「風鈴」とありました。はてしてどちら
が正しいのかな?
凩ーこがらし
初冬に吹く強い風。「木枯らし」とも書きます。こ
れが「こがらし」の語源でもあります。
字の成り立ちは「几=風」に「木」であります。
凪ーなぎ
風が止んで海面が穏やかな状態。
字の成り立ちは「几=風」に「止」。
「なぎ」の語源は「薙ぎ倒す」の「薙」からで、草
を薙ぎ倒したように水面が平らになった様子と
いうところから。
きにょう
きにょうの字はごくわずかです。
凱ーかちどき・やわらぐ・ガイ
字の成り立ちは「几=祭事のつくえ」に「豈=勝
利の喜びの音楽」で、戦いに勝って祭り喜ぶ
意味。
凱風(がいふう)
初夏に吹くそよかぜ。南風。その南風が万物を
長じ養うことから転じて、恩沢のたとえ。
凱旋門(がいせんもん)
軍事的勝利を祝う凱旋式の記念として創られ
た門。
古代ローマに発するといわれます。
日本ではこれに相当する儀式、門の前面を杉
の若葉で飾ったといわれ、これを「緑門」といった
そうです。
凭ーもたれる・ヒョウ
「几=ひじつきの台」に「任=たよりにする」で、ひじ
つきにもたれかかる、よるの意味。
凭几(ひょうき)
坐ったとき、ひじをもたれさせよりかかるもの。ひ
じかけ。
処ーおる・ショ
字の成り立ちは「夂=あし」に「几=だい」で、足を
止めで床几に腰を落ち着ける、こしかける、おる
の意味。
おもしろいのが「処女」で、「嫁がないで家にいる
女」という意味であります。
処々(しょしょ)
どこもかしこも。いたるところ。
春眠暁を覚えず
処々に啼鳥を聞く
夜来風雨の声
落花知めるぞ多少 (春暁/孟浩然)
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編