ことばの物語
〖和気致祥〗
わきちしょう
「穏やかな気持ちが幸せをもたらす」ということ
です。
(笑う顔に拳あたらずですね。)
禅語としても用いられるようですか、これは『漢書』
にある「和気致祥乖(り)気致異-和気は喜びを
もたらし乖気は怪異をもたらす」からであります。
中国の陰陽道によると、陰と陽の調和がとれて
いる状態を「和気」といいます。
これが「祥(しょう)=喜び事・目出度い事」ということ
であります。
大好きな『菜根譚』に、
<疾風怒濤 禽鳥も戚戚たり(ふるえあがる)
斎日光風(はれたおだやかなひより)草木も
欣欣(よろこびあふれる)たり
見るべし天地一日も和気なかるべからず
(一日も和気はかかせない)人心一日も喜神なかるべ
からず>とあります。
悩んでいる時、苦しい時は「陰」であります。良い
考えは浮かんできません。そんな時は「気晴らし」、
気分転換(陽に変える)することですね。
つまり一日も喜神なかずべからずて、和気を
心がけたいものですね。
※喜神・・・喜び楽しむ気持ち
≪仏教語≫
〖息災〗
さくさい
日常「無病息災」などとして使い、身にさわりなく
元気でいることを「息災」といいますが、もとは仏
教語で「仏の力で全ての災いを消し去ること」を
いいます。
「息」には「とめる・おわる」という意味があり、「災」
は「人に不幸をもたらす出来事」ということですね。
〖息ーいき・ソク〗の字の成り立ちは「自=鼻の
象形」に「心=心臓」で、心臓の動きにつれて鼻から
すうすうといきをすることを表しています。
和訓の「いき」の語源は「生(い)き」からだそうで
あります。
(別説:「出気=いずるき」の略とありますが、死ぬ
ことを「息を引き取る」ということからすると「生き」
の方がよさそうですね。)
平静に息をすることが「安息」。
生息する意から子孫を「息子=むすこ」といいま
した。
古代ギリシア語で「息」を「プネウマ」といいます。
プネウマは存在の原理として「気息・風・空気」
の意味を持ち、さらに「呼吸・生命・精神」の意味
を持ちます。
キリスト教では「聖霊」の意でありますと。
今日一日幸運でありますように!
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店)
新大字典(講談社)
字訓:白川静著(平凡社) 漢辞海(三省堂)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武
部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝こ説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編)
新明解「四字熟語辞典」 三省堂
新明解「語源辞典」(三省堂) ことわざ辞典(gakken)
新明解「故事ことわざ辞典」 三省堂
新明解「類語辞典」(三省堂)
成語林(obunsha)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新・仏教辞典(誠信書房)
哲学用語入門(大和書房/高間直道著)
哲学辞典(平凡社)
漢字の用法(武部良明著/角川小辞典2)
仏教語源散策(中村元編/角川ソフィア文庫)
落語ことば辞典(榎本滋民著・京須偕充編)
中国史で読み解く故事成語/阿部幸信著 山川出版)
漢字の語源図鑑(平山三男著/かんき出版)
動物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
植物の漢字語源辞典(加納喜光著/東京堂出版)
古典語典「東洋」(渡辺紳一郎著/講談社)
中国名言物語(奥野信太郎編/河出書房)
中国名言集(一日一言) 井波律子著/岩波現代文庫
世界の神様解剖図鑑 平藤喜久子著/(株)エクスナレッジ
ブッタいのちの言葉/宮下真著・道元禅の言葉/境野勝悟・
一休禅の言葉/境野勝悟ー知的生きかた文庫
心が晴れる禅の言葉/赤根祥道た著・空海感動の人生学/
大栗道榮・親鸞感動の人生学/山崎龍明—中経文庫