ことばの物語
≪おながざる・グウ
ー禺・偶・愚・寓・遇・隅≫
禺ーグウ・グ
大きな頭と尾を持ったさるで「おながざる」のこと。また、
なまけものの類の形をかたどる。果たして、この字が
できたころ、中国になまけものがいたのだろうか?
調べてみると、なまけものはホンジョラスからブラジル
に分布とありました。
偶ー(ひとがた)・グウ・グ・ゴウ
「人」に「禺」で、人に似た姿であるところから人形の
意となり、本物と対を成すところが偶数の偶の意と
もなる。
偶像(ぐうぞう)
1.盲目的信仰の対象物 2.あこがれの対象者、人
気者
英語でアイドル・ラテン語でイドラ
フランシスコ・ベーコンは正しい認識を妨げる先入見
を「イドラ」と呼び種族のイドラ・洞窟のイドラ・市場の
イドラ・劇場のイドラの4種をあげています。
偶成(ぐうせい)
思いがけ出来る、偶然の思いつきでできる。
偶 成
少年老い易く学成り難し
一寸の光陰軽んずべからず
未だ覚めず池塘春草の夢
階前の悟葉すでに秋声
(朱子の作とされてますが、別人の作らしい)
愚ーおろか・グウ
「禺=ものまねざる」に「心」で、心の働きが鈍い、お
ろかものの意味。
ちなみに「痴」は物事に対応できない病気のおろか
で、「呆」は、おむつに子供を包んだ姿で、幼児と同
様にぼんやりとしているものであります。痴呆は幼
児に還る病かな?
愚公山を移す
絶えず努力すれば、ついに成功する。
九十歳になる愚公は邪魔になる二つのむ山を移そ
うと、家族総出でこの大事業は始まった。
それを見たものが、老いのみで到底できることでは
ないと冷笑した。
愚公は言う「私が死んでも子がいる。子は孫を生む。
孫も子を生む。
さらに孫は孫を生む・・・」と。
山の神がこの話を聞いて天帝に報告すると、天帝
は力持ちの息子二人の神に命じ、二つの山を背負
わせこれを移したという。(列子)
愚者も千慮に必ず一得有り
愚かな者でもたまには良い考えを出すことがある。
このあとに「知者も千慮に必ず一失有り」と続き
ます。問題はこちらの方でありますね。「あの人が
言うから・・・」は要注意であります。
寓ーよせる・グウ
「禺=物まねざる」に「宀=いえ」で、本宅ではない
がそれに似た仮住い。
寓意=寓言
他の事にかこつけてそれとなく気持ちや意思を
のべること。
遇ーあう・グウ
意味も目的もなくなんとなくする、おもいがけなく
あうの意味。
隅ーすみ・グウ
「禺」は愚かに通じ、にぶい、はっきりしないの意味。
それに「阝=おか」で、丘のはっきりと見えないすみの
意味をあらわす。
2017.10掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編