ことばの物語
≪みやび・みやこー雅・都・宮≫
雅ーみやび・ガ
和訓では「みやび」。語源は「都ぶ」からで「ぶ」は「そ
のようにふるまう」という接尾語で、都会風にふるま
うこと。それが上品で優雅にふるまうということにな
りました。
「ぶ」でよくつかわれるのが「大人ぶる」ですね。
字の成り立ちは優雅とはほど遠いものでした。
「牙=カラスの鳴き声(ガ~ガ~)」に「隹=とり」で、
すなわち「鴉=カラス」であります。こちらは泣き声か
らですが、「烏=カラス」は姿からで、真っ黒で目が
どこにあるか判らないので、鳥の「ー」を無くしたも
のです。
英語では「crow」で真っ黒?そんなことありません
よね。
中国で太陽の中にいるといわれる三本足の八咫
烏(やたがらす)、日本では神の使いとされますが、
この烏は優雅だったのかもしれませんね。
ただ、字書には「みやびた夏祭りの夏に通じ、み
やびやかの意味」とありました。
雅楽(ががく)
元来は古代中国の祭祀用楽舞をさしたもの。
日本では饗宴用楽舞を含む宮廷の楽舞の総称。
都ーみやこ・ト
政治や文化の中心となる町、首都。
和訓の「みやこ」の語源は「みやどころ=宮のあ
る所」。
「みやこ」の「こ」は、「あそこ」「ここ」「そこ」のよう
に場所を表す語。
字の成り立ちは「阝(邑)=まち」に「者=台に柴を
集めた形で集まる」で、多くの人が集まるみやこ
の意味。人を表す者はこの字を借りたもの。
都忘れ
キク科の多年草。都を忘れるほど美しいという
意味。
語源は不明だそうですが、一つの逸話がありま
す。
<承久の変で敗れ、佐渡に流された順徳上皇が
この花を見て慰められて、都を忘れようとした。>
宮ーみや・キュウ・グウ
神や天皇などの御殿、神社。
「御屋=みや」からで、「御」は霊威ある存在に対す
る畏敬の念を表す。
同じようなのが「御酒」があります。
字の成り立ちは「建物の部屋が連なった形」。
宮刑(きゅうけい)
古代中国の刑罰で去勢すること。
死刑に次ぐ重刑であります。この刑は生き恥を
さらすともいわれます。
太史令の司馬遷は宮刑に処せられます。
漢の武帝の意に反して、匈奴との戦いに敗れ
自害せずに投降した李陵をただ一人弁護したた
めでありました。正論であろうとなかろうと、殺生
与奪の権力者の意に逆らうことは、墓穴を掘る
ことになるのであります。一番強い者の意見が
最も正しいとは、このことであります。
大赦によって釈放された後、中書令(宦官が受け
持つ)に任じられ生き恥を忍んで『史記』の完成
に生涯をささげたのでありました。
2017.10掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編