ことばの物語
≪かわるー代・替・変・換≫
代舎(だいしゃ)
中国は戦国時代の四君一人斉の孟嘗君が食客に用意した最上の宿舎。代舎というのは、接待役がかわるがわるもてなすところから。
二番目が幸舎(食事に魚がつく)、三番目が伝舎(質素な食事だけ)。
食客とは客分として寄食している家来のことで、何かしらの一芸の持ち主であったようで、急場の時の助けとなります。
代ーかわる・よ・しろ・ダイ・タイ
「人」に「弋=二本の木を交差させて作ったくい」で、人が互いに入れか
わるの意味。
字義は別の物や人がその役になること。
また、年数の範囲を示す。(二代目・二十歳代など)
代馬北風に依る
代の地方から来た馬は故郷から吹いてくる北風の方に身を寄せる。
生あるものはみな故郷を恋い慕う情を持っているということ。
「代」が地名で良馬の産地。これがわからないと意味が通じませんね、
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたうもの (室生犀星)
故郷は 帰りて見れば
夢の中へと 遠のけり (法螺吹き童子)
替ーかえる・かわる・タイ
「かわる」の字の成り立ちは「交替」そのもの。
「夫夫=立立」に「日=いう」で、二人の役人が大声をあげて引継ぎをするさまから、かわるの意味。
字義は、前のことをやめて別の事が行われる。(年が替る、商売が替るなど)
変化身ーへんげしん
一般的には略して「化身」といわれます。仏教では神仏が衆生救済の為に姿を変えてこの世に現れることを言います。さらに鬼畜などが人間の姿をとって現れることも言います。
変ーかわる・かえる・あらためる・みだれる・ヘン
変てこりんな字解が多い中、意味が多少とも伝わる解釈が次の解釈です。
<もとの字は「變」で゛「言=神への誓いの言葉」に「左右に糸」に「攴=うつ」で、誓いの言葉が入った器を打って、神への誓いを破り改めるの意味。>
字義は、前の状態とは違った状態になること。
喚骨(かんこつ)
骨を取りかえることですが、これは道教からで、仙人になろうとするものが、仙薬を飲んで凡骨を仙骨にかえることを言ったものであります。
換骨奪胎(かんこつだったい)
「奪胎」はもとの胎盤を取り去ること。
古人の詩文を作りかえて自分の作品とすることであります。
換ーかえる・かわる・カン
「奐=女性のしゃがんださま」に「扌=両手」で、女性の胎内から胎児を取り出すさま。中身をすっかりとりかえること。何かおかしい?
中身を取り出して何ととりかえるのだろうか。
もう一つの字書によると「奐」は新しい生命が生まれることであるが、
それが交換する意味となった過程はよくわからないとありました。
字義は、物が相手にわたって、別の物が渡されること。つまり交換ですね。
2017.9掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編