ことばの物語
≪に Ⅱー二≫
一、二、三と横棒を縦に付け足したもの。
ローマ数字はⅠ、Ⅱ、Ⅲと縦棒を横に付け足したもの。縦書きと横書き、三より先は両方とも字形ががらりと変わります。似ていて面白いですね。
「二」は、二枚目を除けば、二の舞、二の句が継げない、二足の草鞋、
二束三文などと、あまりよろしくありませんね。
二枚目
美男子のこと。ハンサム。
歌舞伎興行から出た言葉。
芝居小屋の面に、役者名を書いた看板が飾られますが、一枚目は
書き出しといって、主役および話題の役者で大看板に一人だけ書き出されます。これを一枚看板といい看板役者と言います。二枚目が美男役者。これから美男子を二枚目というようになりましたと。
三枚目が滑稽な役を演じる役者となります。最後の八枚目が座長。
ちなみに「ハンサム」の語源は「Hand(手)+Some(~しやすい)」で、
美男子は女性を手の上で転がすのが簡単だということであります。
二の舞
前の人と同じ失敗をする事。
雅楽に由来します。
「案摩(あま)」という舞の後に、咲面(わらめん:大きく笑った老爺)と
腫面(はれめん::腫れて歪んだ老婆)を着けて滑稽な舞を舞うのを
二の舞といいます。
ちなみに、女流日本画家の上村松園が描いた『序の舞』は、能にある
舞であります。
二の句が継げない
驚いたり、あきれたり、言い負かされたりして、何か言おうとしても次の言葉が出ないこと。
これも雅楽からで、雅楽の朗詠の第二段目の句のことで、これは高音のまま詠じ続けなければならず、息が切れやすく難しいものであるそうで、その句が継げないとなります。
二足の草鞋(わらじ)
両立しにくい職業を一人で兼ねること。
博打うちが役人の手先(岡っ引き)となって、犯罪取り締まりを兼ねることを言ったもの。「蛇の道は蛇」で、その道に明るい者の協力が必要であったところからであります。
二束三文
こちらは藁草履(ぞうり)からであります。
金剛草履が二足で三文であったところから、極めで安価なものを言うようになったと。
草鞋は足首に縄を巻き付ける形のもので、草履はサンダル形式の物。
共に稲藁でつくられています。
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編