ことばの物語
≪ことり・おおとりー燕・雀 鴻・鵠≫
燕雀安(いずく)んぞ鴻鵠の志を知らんや
小人物に大人物の志や心がわからないということ。
故事があります。
<陳渉が若いころに雇われて農作業に従事していた。
ある時、「立身出世をして富貴ななっても互いに忘れ
ないようにしよう。」と言うと、雇い主は「立身出世、そ
んなことあるもんか」と笑って答えた。陳渉は言う「燕
雀のようなものに大鳥の心のなかなかかわかるもの
か」と。>
舞台は農民一揆陳勝呉広の乱から、項羽と劉邦の戦
い。そして前漢の時代へと動いていきます。
燕ーつばめ・エン
甲骨文字のつばめの象形。借りて、さかもり、やすらか
の意味。
和訓の「つばめ」は「つばくらめ」の略で、「つばくら」は
鳴き声からで
「め」は群れのことと。疑問が残る説のようであります。
<美しい姫君が水浴をしているところに玄鳥(つばめ)
が飛んできて、一つの卵を落とす。見上げていた姫
君はその卵を飲み込んでし まいます。
やがて子を孕み、生まれてきたのが殷王朝の始祖
契(せつ)でありますと。>
雀ーすずめ・ジャク
「隹」に「小」で、小さい鳥、すずめ。
門前雀羅(もんぜんじゃぐら)を張る
訪れるものも少なくて、ひっそりとしていること。
閑散としているので、門前が雀をとる網を張れるほど
だとさ。
鴻ーおおとり・コウ
字の成り立ちは「氵」に「鳥」に「工=おおきい」で、大き
いみずとり。
鵠ーはくちょう・くぐい・コク
白鳥の古名。くぐい。白い。弓の的の黒星。
鴻鵠で白鳥とか、共に入り混じってよく判別がつきま
せん。
とにかく鴻も鵠も大きい鳥であります。
【架空のおおとり】
鳳凰
中国神話に出てくる伝説の霊長で、聖天子が世の中
に現れるときの瑞兆とされます。
鳳凰は霊泉だけを飲み、60年に一度実をつけるとい
う竹の実を食べて、悟堂の桐に止まるという。
『山海経』では、頚に「徳」翼に「義」背に「礼」胸に
「仁」腹に「信」の紋ががあるという。何か儒教的で
すね。
鵬ーおおとり・ホウ
2017.9掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編