ことばの物語 ≪いぬー犬・犭≫
「犬」が偏になるときの形が「犭=けもの偏」。
<犬にからんだ犭偏>
犯ーおかす・ハン
「氾=はびこる」に「犬」で、犬がみだりにはびこるで、おかすの意味
もう一つの字書によると「犬が枠を破ってとびたす」とありました。
狂ーくるう・キョウ
何かの霊が乗り移ったように人にかみつく犬から、くるうの意味。
歯をむきだした異様な眼光の狂犬は抹殺され、人殺しの狂人は
保護される。人権擁護?納得はするものの、殺された人は永遠に
報われることはありませんね。
狄ーえびす・テキ
「犬」に「火は亦の字=人のわきの下」で、漢民族のわきに住む
異民族。「犬」はさげすんでつけられたもの。
別の字書では「犬」に「火」で、火を燃やして犬を横に追い払うこと
を 意味し、異民族扱いにして排斥すること。
中国から見て、北方異民族を「北狄(ほくてき)」、東方異民族を
「東夷(とうい)」と呼ぶ。これから夷狄というと野蛮な異民族という
ことであります。
狗ーいぬ・コウ・ク
「犬」に「句=クルッと曲がる」で、クルクルはねまわる子犬の意味。
狡ーずるい・コウ
「犬」に「交=まじわる」で、犬のような交わりの意味から、わるがし
こい。
「犬がたむろして、こそこそと俺を食べる話をしている。」なんて
なると狂人日記の書き出しみたい。
狡兎三窟(こうとさんくつ)
狡賢い兎は三つの隠れ家がある。
転じて、難を免れるにたくみなたとえ。また、身を固く保つたとえ。
狡兎死して良狗烹らる
すばしっこい兎が死ぬと、それを捕らえるのに役立った良い
猟犬は不用になり煮られる。
敵国が滅びると戦功のあった謀臣はころされると。
有能な部下は自分の地位を脅かすので、側近にはいざという
ときには役に立たないが、無能な臣下を置くのが常であります。
独ーひとり・ドク
「犬=争い好きないぬ」に「蜀=不快ないも虫」で、嫌われもので
あります。だれも近づかないとな。
猛ーたけし・モウ
「猛」は「皿+子」で、ふたをして抑えつけたのをはねのけて、
どんどん成長することを示す。それに「犬」をつけて、おさえが
かきずにいきりたって出る犬で、勢いを意味する。
獄ーうったえる・ゴク
「犭=犬」と「犬」の間に「言」で、二匹の犬が争うように、
いがみあって、言い合うの意味。
獄舎の獄は、ひとや、かたくこつごつとかためた牢屋。
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編