ことばの物語
≪みるⅡー見・視・観・覧・窺・察≫
「見」、鬼太郎の目玉おやじそのもの。
字の成り立ちは「目」に「儿=人のあし」で、大き
な目の人の意味から、ものをあきらかにみるの
意味。ほら、目玉おやじですね。
単に物事を目に感じること。
視ーみる・シ
物事を注意して見る。
字の成り立ちは「示=ゆびさす」に「見」で、一点
に視線を集中させてみる。「示」の原義の祭りの
机には直接関係ないとありましたが、「示=祭事の
机」とする解釈がありました。こちらの方が意味深
く、教えられます。
<視は神前で、神の姿を見る神意の示すところを
「みる」の意味。
神意が示されるので「しめす」の意味となる。>
(白川静先生)
物の本質、そのものが言わんとするところを見ぬ
く。そのように深く凝視しなければならないものが
あるものであります。
耳に見て眼に聞くならば疑わじ
おのずからなる軒の玉水 (大燈国師)
観ーみる・カン
遠くからそのものだけをよくながめること。
字の成り立ちは「見」に「雚=こうのとりの象形」
で、こうのとりのように目を大きくひらいてよく見
るの意味。何故雚(一説に木莬(ミミズク)というと。
この鳥は神聖な鳥とされ、鳥占いに使われて、
神意を察すること「みる・みきわめる」ことを観と
言ったのであろう。(常用字解)
観心(かんしん)
仏教語で、自己の心の本性を明らかに見極める
こと。
関心は興味、感心は感服で、歓心は喜び(歓心
を買うなど)、寒心はぞっとする(寒心に堪えない)
と。
観世音菩薩
聖観音の変化。名の由来は、救いを求める人々
をよく観察して意のままに救うところから。
観自在菩薩
観音さんは三十三相に変化して衆生を救います。
その救いに応じて十一面観音、千手観音、如意
輪観音などの姿で現れるといいます。
観音さんは慈悲の仏さまで、人の苦しみを除き
慈しんでくださいます。
仏さまはほとんどが性別がありませんが、母性
を感じさせますね。
覧ーみる・ラン
物事をひととおりながめ見ること。
字の成り立ちは「監=かかみ」に「見」で、鏡に映
して見る。
窺ーうかがう・みる・のぞく・キ
字の成り立ちは「穴」に「規=はかる(コンパス)」で、
穴の中をはかる、のぞき見るの意味。
察ーつまびらかにする・みる・サツ
字の成り立ちは「宀=大きな建物の屋根」に「祭」で、
祭りを行って神意をうかがいみること。
2017.9掲載再考
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編