ことばの物語
≪くおん・とわー久遠・永久≫
久遠
仏教語からで、無窮なこと。久しく遠いこと。
『法華経』の中に「久遠実成」ということがでてきますと。
<ブッダガヤの菩提樹の下で、悟りを開いて仏になっ
たとされる釈迦は仮の姿で、実は永遠の過去において
悟り、成仏し、限りない時間の間、人々を教化してきた
ので、久遠実成の釈迦と言います。
佛教は本来真理(法)を信仰するもので、この永遠不滅
の仏法を人格とする如来として信仰するようになった
と。>
人であるキリストを神の子とし、人である釈迦を如来
とする。
どの宗教も、似たような発想をするものですね。
久遠寺(山形県)の名はこれらの内容を含んでいるよ
うですね。
久しき昔=オールド・ラング・サイン
これは日本の『蛍の光』で、もとは表題のスコットラン
ド民謡であり、友人同士が再開をして酒を酌み交わす
という、陽気な音楽でありますと。
『蛍の光』の歌詞は、中国の故事「蛍雪の功」からで
あります。
<晋の車胤は家が貧乏で油を買うことができず、夏
の夜は練り絹の袋の中に数十匹の蛍を入れて、その
光で勉強し、孫康という者は、冬の夜、窓辺の雪の光
で書を読み、立身出世を果たしたという。>
【久】ーひさしい・キュウ・ク
「人の死体を後ろから支えている形」。
この形で棺桶に収めた字が「柩=ひつぎ」。木が付いて
いるのは主に木製であったところから。
人の生は一時の間で、死後の世界は永遠と考えた。こ
こから「ひさしい」の意味となる。なかなか意味深い字で
ありますね。
驕れる者久しからず ただ春の夜の夢のごとし
(平家物語)
永久(とわ)=永久
和訓の「とわ」は「常磐=とこいわ」からと。この略が「と
きわ」。
【遠】ーとおい・エン
白川静先生の字書によると「袁」は「死者の衣の襟も
とに人の精気を盛んにする魂振(たまぶ)りとして玉を
置き、枕元に「之=いく」を加え、死者が死後の世界に
旅立つことを送るのを示す字」で、「遠」のもとの字。
これに「辵=いく」を加えて「遠くへ行く」の意味とありま
した。行けるとすれば、あの世は遠い遠いところなん
でしょうね。
【永】ながい・ながれ・エイ
「流れる水の形」で、水が合流して勢いよく流れるとこ
ろで、水の流れの長いこという。
特に時間の長く久しいの意味に使われる。
今日一日幸運でありますように
2017.8掲載再考
誤字脱字ご容赦ください。
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
漢字の用法ー角川小事典(武部良明著)
動物シンボル事典ー大修館書店/ジャン=ポール・クレベール
英米故事伝説辞典ー冨山書房
中国の故事と名言500選 (平凡社/駒田信二・常石茂編