ことばの物語 ≪暮と幕と墓≫
何か共通していますね。それは「莫=おおう」であります。
「莫」は、草むらに日が隠れるさまで、暮れの原字。隠れて見えない
の意。
暮ーくれる・ボ・モ・ム
「莫」が「みえない」に専用されるようになったので、「日」を下に
つけた。
草原に日が沈む様子であります。
日暮
一日を暮すで、朝から暮れまで。また、「その日暮らし」など。
徒然なるままに日暮し硯に向かいて・・・・(徒然草の冒頭)
終日(ひねもす)は一日中ですが、主に日中であります。
「夜もすがら」は「夜通し」であります。高校の古典の授業で
ありましたね。
日暮の歌念仏
江戸時代のはじめ、上方で「日暮」の名を冠して、歌念仏を歌いな
がら「門つけ」をして歩いたもの。
日暮れて道遠し
やらねばならないことが沢山なのに、一向に仕事がはかどらない
こと。
また、年取ってしまい人生の目的が達成できないこと。
伍子胥は楚の平王の墓を暴いて、その死骸に鞭を打って恨みを
晴らした故事から。
幕
「巾=ぬの」に「莫」で、覆い隠す布。
幕を降ろせ 喜劇は終わった (ラブレー)
人生の幕引きがそろそろ近づいています。
さて、私の物語の終わりはブーイングかな?
幕切れ・幕引き
開幕が物事の始まりで、物事の終わりが閉幕。
幕の内弁当
芝居の幕が下がっているうち(間)に食べたところからついた名。
幕内・幕下
幕内は相撲の番付で一段目に名が載っている力士で、前頭以上
の地位にある者。この位の者は張り巡らせた幕の内に控えていた
ところからであります。「幕下」は、幕内の力士の下の段に番付が
書かれたところからと。
幕府(ばくふ)
戦場で幕を張り巡らせた本陣で、作戦本部でありました。
これから、政治を司るところとなりました。
墓
「土」に「莫」で、死者を土で覆い隠したはかの意味。
墓石の起源は、遺体の復活を恐れ石を抱かせて埋葬したのに
始まるという説もあります。
また、通常とは違うことを示すために、死者を埋めた土地である
目印に石を置いたともいいます。
墓碑銘
ニコラ・プッサンの『アルカティアの牧人たち』に書かれている棺の
墓碑銘は
<私はアルカディアにもいる>
これは「アルカディアの楽園にも死はある」ということと解釈される
ようであります。
聖杯伝説などでは、このアルファベットを並び替えて、いろんな
暗号として読めると。
ジェイクスピアの墓碑銘
<この墓をそのままにしておくものに幸いあれ
我が骨を動かすものに呪いあれ>
笑死小事典(立風書房)から少し
(墓碑銘は本人の意向が含まれたものや、勝手に他人が書いたも
のがあります。ここに挙げたのは、お題が出されて、しゃれている
笑点のようなものであります。)
ギロチンで刑死した男の墓碑銘
<首から解放された男 ここに眠る>
自分の妻の墓の上に
<いくら泣いても彼女は生き返ったりしないだろう。
だから僕は泣いているんだ。>
(あっはっは・・・妻と毒の字、似ていますね)
ある不運な男の墓碑銘
<あらゆる事業に失敗した不運な男がここに眠っている。
彼は死を望んだので、人々は生きながら埋葬しなけれ
ばならなかった。>
今日一日幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。
2016.10掲載再考
勉強の主な参考書
漢字源(学研) 漢語林(大修館書店) 成語林(Obunsha)
新明解語源辞典(三省堂) ことわざ辞典(Gakken)
字訓:白川静著(平凡社)
暮らしのなかの仏教語小辞典(ちくま学芸文庫)
新佛教辞典(誠信書房)
暮らしのことば 語源辞典(講談社)
講談社現代新書ー漢字の字源・漢字の知恵
部首ときあかし辞典(研究社)
A・ビアス『悪魔の字典』(角川文庫)
これは使える!スピーチ引用名言辞典 モーリス・マルー編 PHP文庫)
漢字の謎と暗号:青春出版
ウキィディペディア (読み物としても面白いですね
