ことばの物語
＜冥ーくらい・メイ・ミョウ＞
【解字・なりたち】
「冖＝おおう」に「日」に「六＝入るの変形」で、日が
なにかに覆われて光がないことを示す。
門松は 冥土の旅の一里塚
めでぬくもあり めでたくもなし (狂歌：一休)
そろそろ近づいてきましたね。
冥土＝冥途＝冥府・冥界
仏教でいうところの死後に行く世界でありますが、
これはとても暗い世界でありますね。
この本には、地獄、餓鬼、畜生の三悪道とあります。
知ってか知らずかよくお年寄りが「冥途の土産に」な
んて言いますが？
冥土は、中国の道教の太山府君がいる冥府信仰か
ら来ているようであります。ここには、閻魔府や多くの
冥官や十王(地獄の裁判官)がいて人の犯した罪を
罰すると言われます。
日本では中世以降入って来て、ここに三途の川や
賽の河原があるとされました。
太山府君は、中国の泰山と結びついたもので、陰
陽道の主祭神であり密教に取り入れられて胎蔵界
曼荼羅では、閻魔天の眷属の一人とされています。
安倍晴明が使った最高奥義の呪術「泰山府君の祭」
は、死者を甦らせるといわれています。
黄泉(よみ)
中国では死者の行く世界は「地下の泉」というところ
であります。
「黄(黄色)」は五行説で「土」を表します。
「よみ」という語源は「夜見＝よみ」「闇＝やみ」が転
訛したものだそうです。
五行説は、万物の構成元素についての説で、
木ー青(緑)・火ー紅・土ー黄・金ー白・水ー玄(黒)
からできているとするものです。
常世(とこよ)
日本古神道でいう「あの世」のことであります。
「常夜」とも表記され、これに対するのが「現世＝
うつしよ」であります。
また、海の彼方にある国とか、海中にある不老不
死の理想郷ともされます。
浦島太郎が行った竜宮城は常世でありました。
根の国
これは本来「生命や富の根源の地」ということであ
りましたが、「根」が地下に潜るところから「地下の国」、
冥府ということになったようであります。
仏教の彼岸、あの世などと、現世と異なる別の時空
の世界があるという。
本当であれば頼もしい限りであります。
生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く
死に死に死に死んで死の終わりに冥し
(秘蔵法鑰：空海)
冥加＝冥応＝冥利
神の御加護。
冥婚(めいこん)
この世で夫婦になれなかっ男女を、死後に一つの墓
に葬るなどして、夫婦にしてあげること。＝幽婚
哀しいお話ですが、心優しさを感じますね。
冥数(めいすう)
人間の知恵ではかり知ることのできない運。
冥霊(めいれい)
冥海(青海原)の霊物の意で亀をいう。
一説には木とも。
いずれも長命なものの象徴であります。
「鶴は千年亀は万年」といいますが、これは浦島
太郎の続きの話しが関係しているそうであります。
＜浦島太郎が玉手箱を開けて煙で老人になりま
すが、この後もずっと乙姫は太郎を思い続け、
遂に夫婦になります。
やがてやがて、太郎は鶴になり乙姫は亀になっ
て長生きしたと。＞
本日の勉強はこれまでとします。
今日一日 幸運でありますように
誤字脱字ご容赦ください。