言葉の物語
＜五ーゴ・いつ・いつつ＞
数字の５ですが、この字は少し特殊みたいです。
まず、元の字は「二の中にⅩ」で、横棒「二」は「天と地」
を表し「Ⅹ」は交叉していることを表します。
何が交叉しているか。五行説でいうところの世界を構成
する五元素(木・火・土・金・水)ですと。
大極から陰、陽が生じ、五元素に作用し相生(ものが
生まれる)
相勝(相剋・ものが分離)し循環する世界をこの五は
表していると。
陰陽道の五芒星にもこの五元素が配されます。
ただ、他の二つの辞書にはこの思想的解釈はありま
せんでした。
第二の辞書
＜「五」は木を斜めに交叉させ(Ⅹ)作った器物の二
重の蓋(二)の形でこの音を借りて数字の５を表す。＞
第三の辞書
＜「五」は「上下二線＋Ⅹ」で、片手で数字を数える
と５で折り返す交叉点にあたる数字を意味する。＞
親指から折って1,2,3と数えていくと小指が５になり、
それから指を立てると小指は６となりますね。この
折り返しが交叉点。
すなわち５から折り返すということです。
五行説は物質の根源という事ですが、古代ギリ
シアの自然哲学ではこれをアルケーと言いますね。
もっとも物の根源と言っても、思弁的追求ですが。
アナクサマンドロスはこれを「水」、ヘラクレイトスは
「火」、ピタゴラスは「数」とし、エンペドクレスが
「土・水・火・空気」の四大説を唱えます。
この場合の相生、相剋は愛と憎しみだそうです。
これらの自然哲学をソクラテス以前の哲学とい
い、人に目を向けたソクラテスの哲学以後と区別
します。
五輪塔
これは墓標にも使われますが、土台が方形(地)、
その上に円形(水)、その上に三角形(火)、その
上に月形(風)で、一番上に如意珠形(空)。
これにより宇宙を表しています。
五悪
仏教では殺生、偸盗、邪淫、妄語、飲酒(オン
ジュ)で、これにしてはならないの「不」がつくと、
僧侶の五戒となります。
五識
眼ー色、耳ー声、鼻ー香、舌ー味、身ー触。
これを淫すると、心を曇らせる五塵となります。
五雲
青、白、赤、黒、黄の五種の雲で、昔はこれを
見て吉凶を占いました。
また、一つの雲にこれがあると、それは仙女の
遊び場。
五月雨(サミダレ)
梅雨時の長雨。
五月蠅と書いて「うるさい」。
五月少女と書いて「さおとめ」。
五苦
生・病・老・死・愛別離苦。
これに怨憎会苦、求不得苦、五陰盛苦を加えて
四苦八苦。
五十児七十母
いつまでも母親が健在である幸せ。
昨今は七十児九十母で、果たして幸せでしょうか。
不遜なことを言いますが、七十の息子が九十の
母の介護。
逆に、七十の息子を九十の母が介護だってあり
得ます。
五情
喜・怒・哀・楽・怨(うらむ)
なぜ怨なのでしょうか。他に愛・憎・羨もあると
思うんですが。
五山文学
鎌倉から室町末期。
鎌倉五山と京都五山の禅僧の語録や詩文。
今日一日 幸運でありますように！
誤字脱字ご容赦ください。