前回の記事に引き続き、トランスミッションのセッティングについて書いていきます。
※記事の内容の正確性については保証致しません!

その1ではザナヴィニスモGT-R '08をモデルに使いましたが、今度はエンジンの特性が大幅に異なるインプレッサWRC '08をモデルとして解説します。

$grooveの雑感
ザナヴィニスモGT-R '08のエンジンは7000回転で最高出力を発揮しましたが、インプレッサWRC '08のエンジンは4800回転と比較的低回転に出力のピークがあります。こういう出力特性のクルマをドライブさせるときに考えなければならないことは、「高回転域を使いすぎない」ということです。

$grooveの雑感
↑この青線は5000回転前後の位置に引かれています。これより右側(高回転域)では急激にパワーが落ち込んでいくのがグラフから読み取れます。

$grooveの雑感
↑パワーを有効に使えるのはこのあたりの回転域。大まかに言うと、4800回転付近でシフトアップを行い、シフトアップ直後の回転数が3200~3400回転前後に収まるのが好ましいです。どちらかというとセッティングというより走り方の問題という気がしますが、一つだけ気を付けなければならない点があります。

例えば220km/h程度の最高速度が予想されるコースがあったとします。トランスミッションの設定は最高速(自動設定)だけしか変更できないとします。この条件で、最高速度を230km/hに設定するのと270km/hに設定するのではどちらが良いでしょうか。230km/hに設定するほうが加速が良さそうな気がしますが、実はギアを軽く(変速比を大きく)すればするほど加速力が大きくなるわけではありません。と言うと、「1速とか2速より5速や6速のほうが速度が伸びにくいじゃないか」というふうに思うかもしれませんが、速度が遅ければ遅いほど路面抵抗や空気抵抗(ダウンフォース含む)が小さくなるためにそのように感じられるだけで、速度と馬力が同じであればギアが異なっていても加速力は同等です。

前回の記事でも書きましたが、エンジンにパワーを発揮させることが重要なのです。上記の例で言いますと、最高速度230km/hのギアで220km/hを出すせばエンジンはほぼレブリミットいっぱいまで回ってしまいます。そうすると高回転ではパワーが出ないエンジン特性上、加速も最高速も伸びません。一方、270km/hに設定しておけば、220km/hの速度でもレブリミットまで余裕がある(中回転域を使っている)状態になります。出力曲線を見れば、こちらのほうがエンジンのポテンシャルを引き出しているのは明白です。

では、ここまでのまとめを。パワーバンドが比較的低回転にある場合は…

・早めにシフトアップする。
・実際には出せないような高い最高速度を設定しなければ性能を発揮できない。


さて、GT5ではパワーリミッターで出力を制限すると出力曲線が縦軸で相似形に小さくなるのではなく、設定した馬力を超えた部分だけが平坦にならされたような形状になります。

$grooveの雑感

こんな感じです。これはオペルアストラツーリングカーのエンジンの最高出力を310psまで絞った時の性能曲線。3500回転以上回っていれば常時同じパワーを発揮するという極端な特性を持ったエンジンです。

$grooveの雑感

A→A'、B→B'、C→C'、どのシフトタイミング、ギアレシオでも(シフトラグを考慮しなければ)同じ加速力を示します。要するにこういうエンジンの場合はトランスミッションのセッティングは重要ではなく、レブリミットにさえ当てなければどうでもいいとさえ言えます。GT5では頻出するケースなので、覚えておいて損はないでしょう。

このケースでのポイントは一点だけです。

・高回転を余らせてもいいので、レブリミットには絶対当てない。

12月になって急に寒くなってきましたね。

現在フレンドさんが主催しているGT299.8選手権に参加させていただいていますが、緊張感があって楽しいイベントになっていると思います。毎週金曜日が待ち遠しくて仕方がない状態です。

そのイベントの記事を書こうかな…というようなことを前回の記事で口走りましたが、やめにします(笑)。計画性皆無な人間なので、次回予告的な部分はアテにしないでください。

さて、本題に入りましょう。

これから更新する一連の記事は、自分なりのセッティング論です。参考にしていただくのは構いませんが、書いてあることが正しいか否かは執筆している本人にも分かりません。ですから、「管理人はこう考えている」ということが書いてある記事であり、とんでもない勘違いが含まれている可能性があるということを前提に読み進めてください。


今回はトランスミッションのセッティングについて書きます。

トランスミッションというのは、「エンジンが最もパワーを発揮しやすい回転数を保つための装置」と考えます(厳密に言うとかなり間違っているのでしょうが、それは気にしない方向で)。ということは、エンジンの出力特性を知らなければ最適なセッティングを行うことができません。GT5においては、セッティング画面のトップでそれを確認することができます。

$grooveの雑感
↑こんな感じで表示されていますね。ちなみにこの図は、SUPER GTのザナヴィ ニスモ GT-R '08のエンジン性能曲線を管理人が模写したものです。細部に違いはありますけれども、説明に使うサンプルとしては多分問題ないです。この図の読み取り方なのですが、横軸がエンジンの回転数を示し、オレンジ色の線がトルク、緑色の線が馬力を示しています。

ものすごーく大雑把に言うと、馬力は【トルク×回転数】で算出されます。要するにトルクというのは、1回転あたりにエンジンが発生する力の大きさと考えていただけると良い感じです。で、現実はどうあれGT5では「トルクは考慮しなくていい」と考えたほうがシンプルです。

さて、より良い加速を得るためにはエンジンが高い馬力を発生する回転数を保つ必要があります。先ほども書きましたが、馬力は緑色の線で示されています。このエンジンは7000回転付近で最大のパワーを発揮する特性があるようです。

$grooveの雑感
上に示した図に、青い縦線を書いてみました。この青い線の間を使えば、高い馬力を保つことができそうです。縦線の間に水平に引いた細い線は、この回転域での平均馬力を示しています。ギア比のセッティングは、基本的にこの平均馬力を高く保つために行います。

$grooveの雑感
今度は赤い縦線が増えて、上にA・B、A'・B'と書かれています。AとBはシフトアップ直前の回転数を、A'とB'はシフトアップ直後の回転数をそれぞれ示しています。A→A'はシフトアップ前のギアとシフトアップ後のギアのギア比の差が大きいセッティング(ワイドギアレシオ)で、B→B'はギア比の差が小さいセッティング(クロスギアレシオ)です。

この場合、より効率的な加速を得られるのはBのセッティングです。それぞれの縦線の間に水平に引かれた平均馬力を示す線を見ていただけるとわかると思うのですが、AのそれよりBのそれのほうが高い位置にあります。

$grooveの雑感
↑これはAのようなワイドギアレシオの一例。

1速 4.620  2速 2.970
3速 2.000  4速 1.450
5速 1.100  6速 0.870
ファイナルギア 3.955
最高速  316km/h


$grooveの雑感
↑こちらはBのようなクロスギアレシオの一例。

1速 3.390  2速 2.400
3速 1.880  4速 1.520
5速 1.265  6速 1.065
ファイナルギア 3.260
最高速  316km/h

※念のため一言。Bは管理人も実際にやることがありますが、Aは説明のために誇張した、かなり極端なギアレシオになっています。

このセッティングのモデルとして用いているザナヴィニスモGT-Rは526psもの大パワーですので、1速や2速を軽くして加速を良くしようとしてもホイールスピンが多くなってしまい、加速力はあまり変わらないか、場合によっては低下してしまいます。

そこで1速と2速のギアを重くして、3~6速のカバーする速度域を狭くします。そうすると3速から6速ではそれぞれのギア比を接近させることができ、結果としてパワーバンドを保ちやすいセッティングが可能になります。このようにしてセッティングを行ったのがBのセッティングです。

クロスギアレシオのほうが有利ではあるのですが、ワイドなセッティングに比べてシフトチェンジが頻繁になるというデメリットが生じます。シフトチェンジによるロスはほんの僅かですが、あまり頻繁にシフトチェンジしなければいけないようなら、ギア比を変更する必要があります。まあそのあたりはかなり複雑かつ説明しにくいので割愛します。

では、今回のまとめを。

・ギア比のセッティングはエンジンが高出力を発揮する回転数を保ちやすくするのが目的。
・GT5では、トルクは気にしなくても良いっぽいです。
・エンジン性能曲線の緑色の線に注目してセットアップを行う。
  →馬力が落ち込んでいる回転域を使わなくていいようにする。
・大馬力車では、1、2速を重く(変速比を小さく)するのが有効。
・クロスギアレシオはパワーバンドを保ちやすいが、シフトチェンジが多くなる。

次回につづきます。