たゆたううた -10ページ目

ホンモノを目指して

 薄まった真実
 覗き見る幻想
 本物を探して
 駆けまわって
 息せききって
 右往左往して
 頑張ったけど
 見つからない
 サガシモノハ
  ナンデスカ

上手く立ち回れれば
 苦労はしない

もしそれができるなら
真実なんていらないさ
探しているのはきっと
自分を自分たらしめる
多分土台みたいなもの

  薄まった世界の
 ぬるい幻想しか
  見たことのない
 わたしたちには
  真実ってものが
 本当ってものが
  どこにあるのか
 分からなくて今
  頑張ることしか
 まだできなくて

薄まっていく真実の中に
見えなくても確かな原子
のような核があることを
今はまだ願うことしかできないけれど

はなまる日和

はなまるをもらった日は

雨でも晴れやか

だって
お日様みたいだもん

大きく咲いた合格じるし

何度でも見返しちゃうの

昔からのクセだけど

落ち込んじゃっても大丈夫

頑張った昨日が

嬉しい今を
運んできたって知っているから

苦しい明日も

力に変えるよ

もっと嬉しい明後日がくるよ

居場所

落ち込んだから
ここにきた
町に取り残された一軒の本屋に

息を切らして
なぜか必死な自分がいた

罪悪感に似た
 ためらい 鼓動の高まりが
高揚感のような
 期待 緊張が
  体中に溢れて震えていた

感覚の一つ一つを数えて
セルロイドの埋め込まれたドアを引く

セピア色の店内で
きちんと並んだ背表紙から
呼ばれるように手を伸ばす

中を開くと
優しい言葉に
暖かいものが流れてくる
今日の失敗
明日の反省
そしてほんの少しの応援が
その中には溢れていた

表紙を閉じて
お金を払うと
店主の老人は笑っていた

その人は
この場所で
長い間本を売っていた人

この場所で
失敗もためらいも高揚も
期待も緊張も超えて
長い間
人と本との出会いを見つめている人だった

だから笑って店を出た
何故今日
ここに来たのかわかった気がした

今はもう穏やかな気持ち
本を抱えて帰り道
途中一度だけ振り向いた

町に取り残された一軒の本屋
明日も待っていてほしい
明日も笑っていてほしい