海に行こう~
まだ海開きが始まっていない6月の初め、お互いの空きの時間が合ったので
「お昼に海に行こう!」ということになった。
彼女が一人で子どもを育てていかなくてはならなくなったとき、この浜辺が
子どもと長い時間ゆっくりと、気兼ねなく遊べる唯一の場所だったようだ。
とはいうものの6月の初めということもあり、海を眺めた後、公園に行き
軽い食べ物でもと思っていた私には当然、水着の用意などない。
彼女自身も水着の用意はしていなかったが、
子どもの水着や浮き輪は用意していてさっそく泳ぎの準備!
私も泳ぐつもりはなかったのだが、
小さな子どもが「冷たいね~」と言いながらも楽しそうに泳いでいる姿を見て
彼女たちを喜ばせてあげたいとのおもいが突然溢れ出し
いつのまにか洋服を着たまま、ザブーンと海に飛び込んでいた…
彼女はビックリして目を大きく開き唖然としていたが、
二人が泳いでいる姿を見ながら、「大丈夫~?」「冷たい~?」と声をかけ
いつものように笑顔いっぱいの顔にふくらんでいった。
ワイワイと、はしゃぐのも、つかの間…
砂浜で、冒頭で書いた話を彼女から聞いて、楽しい時間を過ごそうと思い、
「よ~し!いっぱいいっぱい泳ぐぞ~」と、また海に入った。
海の中で逆立ちをしたり、追いかけっこをしていたら、
突然、「痛い!」と指先に激痛が走った…
指先から血が流れ止まらない、「ガラスの破片で切ったかもしれない?」と
彼女と話していたら、だんだんと手が腫れ、しびれがでてきた…
「すぐ、病院へ行くよ!」 彼女の行動の早いこと早いこと…
子どもを海からあげ着替えさせ、病院へ!
私も、この手のしびれには、いささか不安な気持ちが脳裏を走った。
診断の結果は、おこぜ(魚)のヒレには毒性があり、それに触ったらしい。
素早い対処のおかげで、しびれも和らいだので病院の後、公園で日向ぼっこ。
通りがかったおじさんから「家族で楽しそうですね」と声をかけられ、
「私たち21歳年の差があるのに夫婦と思われたのかなぁ」と微笑む二人。
いろんな出来事が二人の絆を深めた一日
その夜の彼女からのメールには
「私は夫婦として過ごしたのもたったの数ヶ月で、
男の人が隣にいるのも不思議で…でも今日は、すごく家族みたいに
自然に時が流れたなぁって、私もあなたと同じように思いました。
今日いっぱいいろんなことあって絆が深まった感じがしました。」
この出来事により、二人の互いの辛い過去を打ち明けるきっかけとなり、
やがてお互いが新たなパートナーとして必要な人であると感じ合っていった。