2階建て新幹線E4系が引退したという。
出張などで何度も乗った新幹線。高速化に対応できないのが主な理由だそうだが、2階建て新幹線自体、十分すぎるほどの猛スピードだったと、私は思う。
そんなにスピードアップにやっきにならず、使える電車は使える限り使ったらいい。

ところで、スピードアップといえば、東北新幹線、上越新幹線の上野・大宮間は、沿線の騒音対策もあって、どんな車両でも低速運転を強いられており、JR東日本の泣き所になっている。
しかし実は、私はこの区間が大好きで、比較的ゆっくり走る新幹線の2階から沿線の景色を眺めるのがいつも楽しみだった。

特に春、桜の季節だ。荒川の河川敷をはじめ、名も知らぬ学校の校庭、工場や寺社の一角に咲き乱れる桜を、そんなに猛スピードでない新幹線の、しかも、遮るもののない2階の窓からひととき楽しむ。缶ビールを飲みながら。
ちょっとした花見である。
毎年、本当に、これでもかこれでもかと花の光景は沿線を彩ってくれるのだった。

もう、二度とああいう“お花見新幹線”に乗れないかと思うと、今回の引退劇はかなり寂しい。
そして、年々歳々花同じからず。…自分よりもずっと後から生まれたヤツらがどんどん引退してくなぁ、と、こういうニュースのたび、私も背中を押される気分になるのである。

先日、某カード会社から電話があった。

「昨日のお昼『出前館』で1170円の注文をされましたか。」

私は自信をもって答えた。「いいえ。」

昨日は出前館はおろか、そもそも昼御飯を食べていない。

「では、先週の日曜日、ヨドバシ・ドット・コムで120,700円のお買い物をされましたか。」…これもノーだ。

すると、電話の向こうの彼女は言った。

「市川様のクレジットカードが不正利用されています。使用停止の措置をさせていただき、新しいカードを発行させていただきます。」

…おそろしいことだ。いつの間に…。変なサイトに返信とかした覚えは全くないが…。カード上の情報がどこかで盗み見されていたのだろうか。もちろんそのクレジットカードは今もここにある。

ただ、カードの現物がなくても、記載情報さえあれば、ネット・ショッピングなどで、簡単にカードが(というより、カード情報が)不正利用されてしまいかねない、そういうリスクと隣り合わせの、このカード社会なのだ。カードがなくても、カードで買い物ができちゃう。出前館で焼き肉定食の宅配を頼むことだってできちゃうのだ。

 

私はやむなくカードの再発行に応じた。本当なら、この際、カードの利用自体をやめたいほどだったが、プロバイダの利用料をはじめ、各種会費、切符や出張先のホテルの手配とか、携帯電話代など、いつの間にかカードで支払うようにしている。アマゾンや楽天などのネット上のサイトを利用することも多く、決済手段として、金輪際カードを使わないという選択肢は現実的でなかった。

…それにしても、カード会社は、なぜ出前館やヨドバシ・ドット・コムでのカード利用を怪しんだのだろう。あやしい買い物ならほかにもっとしているぞ!

ただ、そうして怪しんでくれたおかげで、被害の拡大が防げたのは事実だ。ここは感謝しなければならない。

それにしても…と、私は思った。その出前館に出前を頼んだやつをなんで追及しないのか、なぜそいつを警察に通告しないのか、と。

 

さて、ここからは、後日談。

先日新しいカードが届いた。カード番号はすっかり変わってくるかと思ったら、前のやつと下2桁が違うだけだった。ところが、私にはその下2桁がどうしても覚えられない。残りの14桁は今でも諳んじているというのに。

若いころの私はこういう数字を覚えるのが得意だったが、いまや私の認知機能はかくも衰えてしまったのである。情けないことだ。

 

いずれにせよ、これからは、クレジットカードの管理、カード上の情報漏洩には十分気をつけよう。また、クレジットカードの利用は最小限にとどめよう。…そう思いました。

「朗読劇」というのをご覧になったことがありますか。

役者さんたちが、全部ないし一部、台本を読み上げる方式で進められる演劇である。個人的には、出演者が台詞を覚えずにすむ演劇…という、ある種のチープさというか、どこか必然性の実感できない手抜き感みたいな偏見をもっていた私だったが、大きな間違いであった。先日、ある朗読劇を鑑賞してそう気付いた。

 

それは新宿シアタートップスという劇場の「トップスまで15秒」という演目である。出演者は3人。その3人が16人の男女を演じ分ける。

近隣のふたつの劇場にかけもちで出演しようとした役者をめぐる、ある種ドタバタ劇ではあるのだが、聴衆をまったく退屈させないプロット、構成が見事だった。

また、この作品は何組かのキャストがチームを組んで演じているのだが、私が鑑賞した回の出演者は、西ノ園雄大さん、株元英彰さんといったいずれもいかにも女性にもてそうなイケメン俳優と、これまで何度か舞台を拝見したことのある美人女優糸原舞さんのお三方。そろいもそろって大変な実力派で、芸達者ぶりをいかんなく発揮されていた。たった3人で100人を超えるお客を、しかも朗読だけで釘付けにするのだからさすがだ。やはりお金をとるプロの仕事とはこういうのをいうのだな、と納得。なぜ朗読劇なのかということを考えさせるいとまもない後味のよさというか、終わって実にすがすがしく、しかし、まだまだ見足りない、つづきはないの?…という思いにもさせられた傑作だった。

出演者は、終始信号みたいな3色のジャージ。それがときおりポジションチェンジしたりと、見た目もそれなりに楽しかった。

 

もう1作、「Greif4」という朗読劇も鑑賞した。荻窪のオメガ東京という小劇場。

じつは、ここでは、以前、前記糸原舞さんの名演を見たこともあった。が、この「Greif4」は、純粋な役者さんというより、グラビア系の女性アイドルのみなさんの顔見せ的興行。…生粋の役者よりも、アイドルの方が、役者としての出番にも恵まれるのだなと思ったが、しかし、なかなかあなどれない力作であった。

こちらは、朗読劇といっても、ふつうの演劇とあまり変わらず、長台詞のところだけ朗読方式にしているみたいではあったが、それはそれで演出としてメリハリがあって、かえってよかった。

しかも、ひとりひとり本物のアイドルたちが――ギャラなんて知れてるだろうけど――打算抜きで真剣にこうして演劇に取り組んでる姿を見てると、年のせいかウルウルしてしまう。じっさい、内容もアイドルユニットのけなげな友情と成長をえがく予定調和的な、ダンスあり、歌ありの、ベタな青春ものなのだった。

とくに印象に残ったのが、ユニットのリーダー役を演じた阿南萌花さんの非凡な演技である。あまりに脚が長いのでぶったまげたが、聞けば彼女も有名なモデル、グラビア・アイドルとのこと。才能がある人はなんでもできるんだな、と思った。阿南さんの今後にも大いに期待したい。

 

新型コロナ禍、みなさん感染対策に気を使いながら…で、どこか遠慮がちながらも、それぞれに心地よいステージであった。

やはりやり直しの利かない生の舞台にはいつも発見があるし、出演者の頑張りからは、自分自身、大きな刺激を受ける。