今、次の用務先である岡山に向かいJR四国の「アンパンマン列車」の客となったところだ。
最近、変な男につきまとわれたり、これはそれとは関係ないと思うが、弁護士会や裁判所への爆破予告騒ぎがあったりして、さしもの私もノイローゼ気味だったが、さすがに出張先にまでは変な男も追ってこないし、爆破予告屋のいやがらせも及ばないようである。
昨日は地元の名勝あの「はりまや橋」を見物し、あぁ、ここがあの有名な坊さんが簪買ってるとこを見られたとこか、と、往時をしのびつつ薄くなったわが頭髪に時の流れを思い、また、鰹料理を堪能しつつ、土佐の美酒に、久しぶりに酔った。その勢いで久しぶりにこのブログを見たらまだやってることがわかったので、こうして車中で更新を試みているところだ。
昨年来、先述した事情その他が重なり身心をやや病んでいたこともあり、またある役職を押し付けられてしまった関係上うかつなことを書けなくなったことも手伝い(というよりそれを口実にして)、ブログをすっかりさぼってしまったが、おかげさまで私はこうしてなんとか生き永らえておりますのでご安心ください。
窓の外には11月ながらあたたかそうな四国の野山が広がっている。やはり旅は鉄道に限ると思う。
アンパンマン列車は子供たちの人気者だ。車中はじつに賑やかで、ほほえましくて眠れないくらいだ。コロナは第8波を迎えているが、昨日の羽田空港といい、今日のこの列車といい、行楽客らですっかりかつてのにぎわいを取り戻し、いや、それどころか以前に倍するにぎわいを呈しているようだ。しかし、これからクリスマス、そして年末年始と、コロナには決して油断することなく、みなさま、衛生面はぜひ万全を期していただきたいと思います。
どうか、くれぐれもお元気で。
列車はディーゼル列車ならではのエンジン音を唸らせながら、これから大歩危小歩危の景勝にさしかかろうとしているところだ。
あけましておめでとうございます。

年頭にあたり、皆さまのご健康をお祈りし、また、改めて世界の平和を願います。
さらに、新型コロナ禍の一日も早い終息に期待いたします。
私は、おそるおそる電話をかけた。
相手はL先生である。
L先生といえば法曹界でおそらく知らぬ者はないと思われる有名弁護士。いや、ただ有名なだけでない、みんなから尊敬されている数少ない大弁護士のおひとりである。
なぜそんな先生に私ごときがお電話をしたか。
弁護士会内の当番の役目の関係で、私からL先生にどうしてもあるボランティアのお仕事をお願いしなければならなかったからなのだ。
L先生にはたしかに何年か前、ご挨拶したことはある。しかし、「いきなり電話よこして、君はどこのどなただい?」ならまだしも、「久しぶりの電話かと思ったら面倒な仕事の依頼かね。勘弁してくれよ。」さもなければ、「そういうことをいきなり電話で、とは失礼じゃないか。」くらいは言われるかな、と、当然覚悟し、そう言われたときの言い訳もあらかじめ考えていた私だった。
ところがだ。…ほんとはそんな風に思ったにちがいないのに、L先生は、実に、いや、ほんとうに実におだやかに、「いやぁ、市川先生(そう、L先生は俺のことを間違いなくそう呼んだ!)、当番ご苦労さんです。」そうおっしゃった。

「先生、実はこれこれこういう次第で、ご無理とは承知しつつお願いのお電話を差し上げた次第です。」
「そうか、久しぶりに何かと思ったらそういう用件だったんですか。」
「昨年おつとめになったH先生も、今年はL先生が最適任だとおっしゃっていました。そういう次第で、ご無理を承知でお電話差し上げた次第です。」

こうして、次第、次第を連発する私に、しかし、L先生は答えてくれた。「わかった。そういうことなら喜んでお引き受けしましょう。」と。
まさにこういうのを二つ返事というのではなかろうか。
私はむしろ即座に断られ、ガチャンと電話を切られるかと思っていたほどである(携帯だが。)。せいぜい「2、3日考えさせてくれ。」くらいのご返事を引き出せれば…との思いであった。それが、こうである。本当に気持ちよくオーケーがもらえた。
決して私の頼み方がうまかったとか、そういうことではない。
もちろん、L先生は私なんかとちがって弁護士業はもちろん、数々の公職や役職で毎日とても忙しくされている。
私は、あぁ、尊敬される人ってやっぱりちがうなぁ、人間の器の大きさってこれなんだなあ、と、大げさに言えばウルッときてしまった。
当たり前かもしれないが、えらい人、忙しい人ほど、プロボノの意義を正解している。とくに、われわれ弁護士は世界でも稀有な自治団体である弁護士会の、まさに自治の担い手なのである。
そう、引き受けるべきなら引き受けよう。そして、どうせ引き受けるなら気持ちよく引き受けよう。
それは俺みたいに「ただの断れない男」とはちがう。底流に、賢明な、しかし、瞬時の選択があるのだ。

…ところで、電話を終えて、私は、L先生はホントに俺なんかのこと覚えてたんだろうかという気がしないでもなかった。しかし、今は、間違いなく覚えててくれたはずだと思っている。
私の経験上、後輩から人望を集めている先輩ほど、後輩の名前をよく覚えていて驚かされることが少なくないからだ。銀座の名店の大ママになればなるほど、こんな客のことも…というほど人の顔をよく覚えてるのと同じだ(ちょっとちがうか?)。
L先生、本当にありがとうございました。心から感謝いたします。