「2022年度もいよいよ今日までですね。先生はこの1年間でいちばん心に残っていることは何ですか。」
「とくにないね。」
「ああ、そうですか。…先生、見てください。目黒川、桜満開ですよ。」
「通り過ぎてから言うのはやめてくれ。」
「失礼しました。先生はお花見とかしましたか。」
「するわけないじゃないか。」
「お忙しいんですね。」
「皮肉を言うな。忙しいどころか、暇だよ。」
「じゃ、桜の花がおきらいですか。」
「いや、桜はいいんだけど、僕は、ああいう家族とか恋人同士とかが楽しそうにしているのを見るのがあんまり好きじゃないんでね。」
「先生はいつも孤独ですもんね。」
「君、30年以上も先輩の老人に、そういうグサッとくる物言いをするのはよくないよ。」
「失礼しました。春爛漫でも、先生にはなんの楽しみもないですもんね。(グサグサッ!)」
「いや、夜遅く帰宅途中に家の近くの川べりにちょっと寄り道する。そしてベンチでひとり夜桜見物する。これが、僕のこの季節ならではの楽しみだ。コンビニで買ってきた缶ビール片手にね。」
「なかなかおしゃれじゃないですか。」
「そうだよ、文句ある?」
「…あ、そろそろ渋谷に着きますね。」
「言われなくてもわかってるよ。東横線が錦糸町に着くわけないだろ。…君はここから山の手線だな。今日は付き合ってくれてありがとう。ほんとに助かったよ。」
「いいえ、とんでもない。先生おひとりでは不安でしたからね。」
「まあ、訪問の目的が達せられてよかった。ご苦労さん。」

「ありがとうございます。先生も、1年間の役員、お疲れさまでした。」

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2023年

新年あけましておめでとうございます。

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートを、ある方の家の、ものすごくでっかいテレビで見ました。

掉尾を飾る「美しく青きドナウ」は、全編ウィーン国立バレエ団の絢爛たるバレエの映像でした。

見目麗しい男女5組のバレリーナの競演。

私は堪能しつつ、ふと、男女の役割・分業の固定化の是非を思いました。

とはいえ、あらゆる意味で差別のない、そしてなにより戦争のない2023年であり、世界であってほしい。

…変わらぬ願いです。

本年もなにとぞよろしくお願いいたします。



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以前、自分の収入を時給換算してみたことがあった。2,200円くらいだった。
東京都の最低賃金(1,072円)の2倍以上なのだから本当に弁護士になってよかった。
だから、私はタクシーが好きではない。
家から東京駅まで歩けばタダ、バスでも210円で行くのに、タクシーだと1,000円くらいかかる。羽田空港までだと、電車で500円、しかしタクシーだと6,000円くらいだ。

私は、今朝9時25分発の飛行機で沖縄に行かねばならなかったが、その前に簡単な事務作業をしなければならず、6時には起きようと思っていたのだが、どうしてもあと5分、あと5分…と、なかなか起きられず、結局6時40分まで寝てしまった。

ただ、羽田まで電車でも2時間前に出れば余裕。ギリギリで1時間半前に出ても飛行機には間に合う。

…ところが、その作業に予想以上に手間取ってしまい、時刻は8時を回ってしまった。
あわてて家を出たが、かくして私は羽田までタクシーに乗るしかなくなってしまったのだった。あの布団の中の40分には、絶対に6,000円の価値はないのに!
つくづくだらしない自分がいやになる。
つべこべ言わずにタクシーを拾おう。
しかしこういうときに限って空車がなかなか来ない。仕方ないので、私は近所のお金持ちがたくさん住んでいるタワーマンションの方に向かった。そのエントランスには必ずタクシーがいるのだ。
…あぁ、やっぱりいましたいました。
慌ててその客となった私に、運転手さんが実に丁寧に「すみません、新人なもので、道案内をよろしくお願いしま…」

さえぎるように私は言った「空港までお願いします。」

「空港というのは羽田空港ですか?」(そりゃそうでしよ、このあたりにほかの空港もあるんですか。いくら新人でも道案内いらんでしょ…)「ありがとうございます。第一ターミナルですか、第二ターミナルですか。」「第二です。」「ありがとうございます。ではいまナビに登録いたします。」(いいから早く出てくんないかなぁ。)

しかし、このあとわたしは、その初老の新人ドライバーが実に安全運転に徹した優良ドライバーであることを知り、更に感動を禁じ得なかったのである!
私の乗ったタクシーは、制限速度にまったく忠実で、本当に模範的といえた。新人でありながら実車乗務よりすでに教官にふさわしいと言えないか。

私たちはほかの車に次々抜かれた。東京都清掃局のいわゆるゴミ収集車が私たちを抜き去った瞬間には、私は心の中で快哉を叫び、このドライバーは表彰されねばならないと確信した。

しかし、間に合うかな…と私を少しヒヤヒヤさせながらも、タクシーは定刻の30分前に見事に羽田に着いた。ただ、料金は7,560円だった。
降りぎわに私は言った。「運転手さんは前職は警察官ですか?」「いえいえ、お好み焼き屋をやっておりました。」
…それにしても今回の寝坊は本当に高くついた。しかもだ、私が乗る予定だった飛行機は機材ぐりの関係で、なんと出発が30分おくれるというではないか! あぁ、それがわかっておれば電車で来たのに…と私がため息をついたのは言うまでもない。
ただ、その待ち時間のあいだにこうしてブログを更新できたのはこの秋いちばんの収穫といえよう。
なお、最初に書いた時給換算の上では、こういった移動時間や待ち時間も稼働時間に算入しています。最後に念のため一言しておく次第である。