覗き穴から海の色。 -2ページ目

夜中の箱。

起きたら夢は一粒も残っていなくて、いつもしんとしている。


よくこんな夢を見たと話をする人がいるけど、私はいつも夢をぜんぜん覚えていないのだ。

それは恐い夢を見た時にはとても便利だけど、どんな夢なのかわからないから、いつも少しだけ残っていたらいいのにと思う。

起きるちょっと前には覚えているのに、起きたら忘れてしまうのはなぜなのか。

なんとなく黒っぽい大きな波じょうのものと白っぽい大きな波状のものの夢は歯の裏を舌でなでた時の感触とともに、子供の時から何度も見る夢だから覚えている。

白と黒とはいつもかぶさったり、かぶせられたりしているのだ。

熱のある時には特によく見たような気がするどうだろう。

私は黒がどうしようもなく恐くて、苦しくなってた。


そのせいかオセロはいつも白になる。






部屋の床がいつ抜けるのか心配。

どんどん増えていくような気がするので。



最近はよくお腹が痛くなる。ストレスとかではないと思う。

なんとなく食べ物があわないのだ。

ここはまだ豊かな土地ではない。


お久しぶりです。

ひさしいという言葉は言いにくいけど音がきれい。


最近なにかの本で読んだけど、ドイツ語で懐かしいという言葉はないそう。
それだけで日本人とドイツ人の部分がすごく違いすぎていて、交差してしまうように思ってしまうね。

なつかしいというのもきれい。





最近は仕事をしていて、車を運転したり、知らない人と話したり、新しいことを色々としてる。

この前生まれて初めてガソリンを入れて、(入れたのはガソリンスタンドの人だけど)ちょっと感動。
車って中身が思っていたより広いし、運転すると世界との接着面積が広くなって、ますます私の中身は拡がるのです。
こんなことでも私は少し拡がってしまうのだから、これから何年も何年も生きたら本当に広くなるのだよね。
感覚は一度知ってしまったらなかったことにはできないから、もう狭くなることはないよ。
ちょっとこわいね。


あとはご飯を食べたり、お風呂にはいったり、好きな人に会ったり、買い物したりしてる。



出来事が終わったその日の六時間後くらいにはもう、その出来事にいる最中の自分が羨ましくなってしまうのです。
べつに夢みたいにすてきなことじゃなくて、ぬらんとした出来事なのに、
もうそこにいないこと、もうそこには絶対戻れないことを考えると布団の中で丸くなって顔をかかえて泣きたくなる。



私の身体はすごく小さくなれるのです。
中身は膨れる一方なのに。





最近はなかなか本が読まれない。
何かの魔法が消えてしまったかのように、今は知らない本は私にとってただの紙でできた四角い箱だ。
こんなふうになるときはたまにあって、そういうときは絵本を眺めたり、前に読んだ本を布団のなかで読み返す。今日は二冊読んだ。
神様に毎晩電話電話してる運転手。





我慢できなくなるのは今日ではないみたい。

あなたって悪い夢みたい。


雨の雫がぽたんと落ちるように、
私の中身の水色の部分が空気に帰っていきます。
今日あったこと、今日なかったことは一緒の場所に帰っていく。