ここはまだ豊かな土地ではない。 | 覗き穴から海の色。

ここはまだ豊かな土地ではない。


お久しぶりです。

ひさしいという言葉は言いにくいけど音がきれい。


最近なにかの本で読んだけど、ドイツ語で懐かしいという言葉はないそう。
それだけで日本人とドイツ人の部分がすごく違いすぎていて、交差してしまうように思ってしまうね。

なつかしいというのもきれい。





最近は仕事をしていて、車を運転したり、知らない人と話したり、新しいことを色々としてる。

この前生まれて初めてガソリンを入れて、(入れたのはガソリンスタンドの人だけど)ちょっと感動。
車って中身が思っていたより広いし、運転すると世界との接着面積が広くなって、ますます私の中身は拡がるのです。
こんなことでも私は少し拡がってしまうのだから、これから何年も何年も生きたら本当に広くなるのだよね。
感覚は一度知ってしまったらなかったことにはできないから、もう狭くなることはないよ。
ちょっとこわいね。


あとはご飯を食べたり、お風呂にはいったり、好きな人に会ったり、買い物したりしてる。



出来事が終わったその日の六時間後くらいにはもう、その出来事にいる最中の自分が羨ましくなってしまうのです。
べつに夢みたいにすてきなことじゃなくて、ぬらんとした出来事なのに、
もうそこにいないこと、もうそこには絶対戻れないことを考えると布団の中で丸くなって顔をかかえて泣きたくなる。



私の身体はすごく小さくなれるのです。
中身は膨れる一方なのに。





最近はなかなか本が読まれない。
何かの魔法が消えてしまったかのように、今は知らない本は私にとってただの紙でできた四角い箱だ。
こんなふうになるときはたまにあって、そういうときは絵本を眺めたり、前に読んだ本を布団のなかで読み返す。今日は二冊読んだ。
神様に毎晩電話電話してる運転手。





我慢できなくなるのは今日ではないみたい。