『蛇の道』ネタバレの感想 小夜子の復讐が怖い | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 本作はVシネマ『蛇の道』(1997年)のセルフリメイク作品だが、前作は見ていない。パンフレットによれば、前作の舞台は日本だが、本作はフランスに。主人公が男性の数学の塾講師から、女性の心療内科医に。ヤクザ組織が財団に。と言う変更点があるそうだが、ストーリーはほぼ同じだとか。

 主人公の新島小夜子は、8歳の娘がミナール財団に誘拐されて殺された、アルベール・バリュレの復讐に協力する。ミナール財団は臓器売買のために子供を誘拐し、臓器を摘出して殺すらしい。

 小夜子とアルベールは、まず財団の会計士ティボーを誘拐して廃工場に拘束監禁する。トイレ行かせない。目の前で食事を落とす。という屈辱的な拷問で自白させようとする。放水で尻を洗ってもらい、床に落ちた食べ物を何とか取ろうとするティボーが哀れに思えてくる。

 ティボーは、財団トップのピエールなら知っているはずだと言うので、さらにピエールも誘拐して来る。しかしピエールも知らないと言う。小夜子はティボーとピエールに、解放されたかったら犯人をでっちあげろと提案する。2人は警備主任のクリスチャンの名前を挙げ、クリスチャンも誘拐してくる。クリスチャンも知らないと言い、なかなか確信に迫れず、混沌としてくる。

この3人の誘拐は、いずれもスタンガンで気絶させ、寝袋に入れて引きずって運ぶ方法である。  ティボーの場合は、他の住民に見つかるのでないかと思った。ピエールの場合は、彼の友人の猟師が猟銃を撃ってくる中、結構長い距離を引きずらなければならないので大変そう。クリスチャンの場合は、スポーツジムのロッカールームで格闘になったので、物音を聞いて他の客や従業員が来ると思うのだが。

 警官が小夜子の車を駐車違反で調べている時、トランクから寝袋の一部がはみ出ていた。警官が「トランクを開けろ」と言うのではないかと思ってドキドキして観たが、そうならないのがちょっと残念。

 さて、小夜子は常に無表情で、誘拐した者の目の前で食事をわざと落とし、洗うと称して放水して水責めにし、かなり残酷である。ピエールが「蛇の目だ」と言うのも分かる。これが題名の由来か?

 なぜ小夜子は危険を冒してまで、アルベールに協力するのか?小夜子はティボーの死体をナイフでめった刺しにし、ピエールの死体もドライバーで刺そうとして思い止まるが、財団の人間にかなり恨みを持っているようだ。後に、彼女の娘も誘拐されて殺された事が分かる。

 なぜ小夜子は、ティボーとピエールに、解放されたかったら犯人をでっち上げろと提案したのか?2人が名前を挙げたクリスチャンから財団の本拠地が分かったが、確信があったのか?小夜子はクリスチャンにも、助かりたかったら人違いだったと言い張れ、と助言している。小夜子はどっちの味方なのだろう?

 さらにその臓器摘出を画像に撮り、マニアに売ると言う阿漕な商売をしていると分かる。その販売に協力したのがアルベールだった。財団の本部に小夜子とアルベールが侵入した際には、テレビモニターにアルベールの娘のビデオや、小夜子の娘のビデオが映る。これは小夜子が事前に準備していたものであり、小夜子と財団が協力しなければできない。小夜子はアルベールのビデオ販売と言う罪を暴くために、財団と協力したのだろうか?最初に病院でアルベールと接触したのも、彼の罪を知っていたからか?でもこれに教団が協力する利点は何だろう?

 小夜子は夫とビデオ通話をする。夫は「お前の笑顔を見るとホッとする」と言うが、小夜子は一度も笑顔を見せていない。夫はちゃんと画面を見ているのだろうか?この夫は娘殺しの犯人だと示唆して映画が終わる。中途半端な終わり方だが、続きがあるのだろうか?評価は「4」である。

 原題はフランス語で『Le chemin du serpent』、英語で『the serpent’s path』で、意味は『蛇の道』である。