アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 3/5 ☆☆☆★★

 2011年4月~6月にフジテレビで放送された全11話のテレビアニメの総集編だが、単純な再編集版を嫌ったスタッフ一同が、後日談とテレビシリーズで描かれなかったエピソードが加えられたそうだ。

 テレビシリーズは「小学校時代に仲良し友達6人(宿海仁太・じんたん。本間芽衣子・めんま。安城鳴子・あなる。松雪集・ゆきあつ。鶴見知利子・つるこ。久川鉄道・ぽっぽ)で「超平和バスターズ」というグループを結成し、山の中の小屋を秘密基地にして遊んでいた。ところがじんたんがめんまを好きな事を他の仲間がはやし立て、じんたんがおもわず「嫌いだ」と言ってしまい、その言葉にめんまが傷つく。めんまは誤って川に落ちて亡くなる。5年後の高校1年生の時、じんたんにしか見えないめんまの幽霊が現れる。めんまの幽霊の存在を信じた仲間達は、めんまの願いを叶えて成仏させようとする。願いが叶っためんまが皆の前に姿を見せ、消えて行く」という話。

 劇場版は「めんまが成仏した日の1年後、「超平和バスターズ」の仲間達がめんまへの手紙を書き、手紙の「お焚き上げ」を行うことにした。5人の仲間達は過去を思い出して手紙を書こうとするが、なかなか自分の気持ちを素直に書けずに悩む」という話。

 そのため、この劇場版では現在(高校2年生)の人物が手紙を書こうとして、1年前(高校1年生)の出来事を思い出し、さらに小学校時代の出来事も思い出しながら書くので、3つの時代が何度も登場する。しかもそれが5人の登場人物全てに描かれるので、「3つの時代×5人」の、現代と1年前と6年前が描かれ、非常に複雑な構造になっている。

 小学時代、めんまをじんたんが好きだが、めんまをゆきやすも好きだった。実は、じんたんをあなるが好きで、ゆきやすをつるこがすきだった。という関係がある。恥ずかしさから、めんまを好きなのに嫌いと言ってしまったじんたんの気持ちも理解できる。めんまが亡くなって幽霊に対してではあるが、じんたんがやっとめんまを好きだと告白できてよかった。

 めんまの願いとは、じんたんの母に言われた、我慢して自分の感情を表さないじんたんに感情を出してほしいと言う事だった。じんたんを泣かせためんまは、みんなの前に姿を現し、消えて行く。めんまを成仏させるのが目的だったが、めんまの姿が消えていく場面は悲しい。

 さて、それから1年後の話なので、めんまは登場しないが、めんまに手紙を書く事で動く5人の心が描かれる。高校2年の思春期では好きだと聞いだせない、あなるやつるこの気持ちも分かる。つるこがだいぶ積極的な気持ちになってきているようだが、今後この2人は告白するのだろうか?

 最後に手紙のお焚き上げが行われる。手紙は煙になって天に昇って行ったが、彼らの気持ちはめんまに届いただろうか?

 彼らは1年後にまた会う約束をするが、1年後はどうなっているのだろうか?めんまが小屋の梁に書いたように「超平和バスターズは、ずっとなかよし」でいてほしいものだ。

 ところで、エンドクレジット後にめんまが「生まれ変わったら何になろう。お花になろう。蝶々になろう。アリンコになろう。お芋になろう」と言う。10年後を描く朗読劇『十年後の八月、秘密基地にて。』では、あなるの夢の中でめんまは芋焼酎に生まれ変わった状態で登場するそうだ。それはこのめんまの「お芋になろう」のセリフに呼応しているのだろうか?

 小学校時代の楽しい思い出や幼い気持ち、高校時代の思春期の揺れる気持ちとめんまとのお別れ、などを描いてなかなか良い話であった。ただほとんどは回想場面で、新しい場面が少なかったのが残念。構成が複雑で分かりにくい点もある。そのため評価は「3」である。