『蛇の道』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:黒沢清 2024年

主な登場人物(俳優)役柄

新島小夜子(柴咲コウ)フランスで暮らす心療内科医。アルベールの復讐に協力する。

アルベール・バリュレ(ダミアン・ボナール)小夜子の患者。娘が誘拐されて殺された。

ティボー・ラヴァル(マチュー・アマルリック)ミナール財団の元会計士。

ピエール・ゲラン(グレゴワール・コラン)ミナール財団の幹部。

吉村(西島秀俊)小夜子の患者。フランスに駐留する商社マン。

ローラ・バシュレ(ヴィマラ・ポンス)アルベールの妻。

クリスチャン・ジラール(スリマヌ・ダジ)ミナール財団の主任警備員。

新島宗一郎(青木崇高)日本在住の小夜子の夫。

 

(タイトル『THE SERPENT’S PATH』)

 パリの裏道で新島小夜子とアルベール・バリュレが「今日はやめておく?」「いや、今日やろう」と話す。アルベールは車内で、娘がピアノを弾くホームビデオを見て「マリー、もうすぐだよ」と呟く。小夜子はアパートの住人が暗証番号を押す様子を仕掛けたスマホで撮っており、小夜子が先に暗証番号を押してアパートのドアを開ける。

 アパートのエレベーター前にいた小夜子に、ティボー・ラヴァルが「何かお困りですか?」と話しかける。ティボーを後ろから近付いたアルベールが、スタンガンで気絶させる。小夜子とアルベールはティボーの口と手足を粘着テープで留め、寝袋に入れて引きずって運んで車のトランクに入れる。

 小夜子が車を運転し、郊外の廃工場に着くと、2人でトランクから寝袋を出して中に入れる。2人は寝袋から出したティボーの両手両足を鎖で壁に繋ぐ。アルベールはテレビをティボーの前に運び、娘がピアノを弾く動画を見せ「僕の娘だ。お前に殺された」と言い、「マリー・バリュレ、8歳。セナールの森で発見された。全身に刺し傷があり、広範囲の出血があった。脳髄が3分の1、内臓の殆どが摘出されていた」など、検視結果を読み上げる

 

ティボーが「私は関係ない」と言うと、アルベールは「お前はミナール財団の会計士だった。財団が子供を誘拐し、臓器を売買した」と言う。ティボーが「私は知らない」と言うと、アルベールは拳銃をティボーに向ける。小夜子は「待って。時間は沢山ある」と言って止める。

 ティボーが「誰か助けてくれ!」と大声を出すと、小夜子が銃を撃ち「叫んでも無駄だ。近くには誰も住んでいない」と言う。

小夜子が外に出るとアルベールは感謝する。小夜子は「長かったけど、ゴールは近い」と言い、自転車で家に帰る。

 病院の診察室で小夜子は吉村を診察し「どこも異常はない。外国で生活すると、そういう症状が出る事がある。精神安定剤を出す」と診断する。吉村が「先生には不安はないのですか?」と質問する。さらにどちらの出身ですか?」と聞き、小夜子は「東京です」と答えると、「家族は?」「父がいます」「お母さんは?」「母は亡くなった」と次々に質問し、「結婚は?」に小夜子が答えないので「聞いちゃまずかった?」と言う。「フランスは何年前から?」と聞き、小夜子は「若い頃から憧れて、気づいたらパリにいた」と答える。小夜子が薬を1錠出すと。吉村は「毒じゃないですよね」と言う。

 小夜子は自転車で自分のアパートに戻る。買い物した食料を出す。部屋ではルンバが動いていた。

 廃工場でティボーが「トイレに行かせろ。大だ。ここでやれと言うのか?」と頼むが、隣の部屋のアルベールは無視する。ティボーは便を漏らす。

 夜、小夜子が廃工場にやって来る。ティボーが漏らしたと知った小夜子は「洗ってあげる」と言って、ホースでティボーの全身に放水する。

 小夜子は料理を作り、3人分のトレイに盛りつけする。アルベールが「奴にも?」と聞くと、小夜子は「すぐに死なれると困るでしょ」と言う。小夜子はティボーに食事を持って行くが、目の前でトレイを落とす。ティボーが床に落ちた食べ物を取ろうとするが、鎖で手が届かない。アルベールが食べ物を拾って、ティボーの目の前に出してからかう。

 アルベールはテレビを持って来て、また娘のビデオをティボーに見せ、検視結果を朗読する。

 3か月前。病院の心療内科の診察室からアルベールが出てきて、廊下の椅子に座り込む。小夜子が「どうしました?私は診療内科の新島小夜子。5分ほどいいですか?」と話しかける。

 廃工場でティボーがアルベールに「君はバリュレだな。財団のサークルの名簿で見た」と話しかける。小夜子が「サークルって?」と聞くと、アルベールは「僕も財団に所属していた。児童福祉のサークルだ。児童の人身売買を探っていた」と言う。ティボーは「財団の中心にいるゲランなら知っているかも」。アルベール「僕はジャーナリストだ。探っても何も出なかった」。ティボー「財団の秘密を掴んだので、見せしめに娘をさらわれたのでは」と言う。

 アルベールは小夜子に「君を巻きこんですまない。ゲランが関わるとやばい」と謝る。小夜子は「どうしたらいい?私が手伝う?一緒にゲランを探そう」と聞く。ティボーは「ゲランは田舎で暮らしている」と教える。

 小夜子はティボーの隣にもう1人分の鎖を溶接する。アルベールがティボーに食事を持って来て、目の前で落とす。ティボーは腹ばいになって食べ物を食べる。アルベールは銃の練習をする。

 小夜子とアルベールは森の中の小屋に行くが、誰もいないので小屋の中で待つ。ピエール・ゲランと猟師がウサギ狩りから帰って来る。ピエールが小屋に入ると、小夜子とアルベールがピエールを銃で脅し「同行願います」と脅す。猟師が猟銃を構えて部屋に入ってきたので、アルベールがスタンガンで気絶させる。

 ピエールを寝袋に入れ、小夜子とアルベールが寝袋を引きずって森の中を走る。目を覚ました猟師が銃を撃って来るが、途中で追跡を諦める。小夜子とアルベールは草原を寝袋を引っ張り、道路に止めた車にやって来る。トランクに寝袋を乗せ、車で出発する。

 廃工場のティボーの隣に、ピエールを鎖でつなぐ。ピエールはアルベールに「こんな状況で会えるとは」と話す。アルベールはテレビを持って来て、ピエールにも娘のビデオを見せ「君が娘を殺した」と言う。ピエールは「何も知らない」と答える。アルベールは「まるで分らない。何が真実か」と嘆く。ティボーが「お前が子供を売って、残ると殺した。バリュレの娘を見せしめに殺した」と言う。ピエールは「バカげている。何も知らない。解放してくれ」という。小夜子がピエールに近づく。ピエールは「蛇の目か?」と言う。ピエールは「あの女は何者?」と聞く。

 アルベールは小夜子に「僕の話は嘘じゃない」と言う。小夜子は「目的は達成するでしょ」と言い、自転車で帰る。

 ピエールは「トイレに行きたい」と頼むが、ティボーが「言っても無駄だ」と教える。ピエールは「せめてトイレくらいいかせろ。人間の尊厳だ」と訴える。

 小夜子が便を漏らしたピエールとティボーに放水して洗う。ティボーは放水の水を口を開けて飲み、ピエールに「飲める時に飲んだ方が良い」と助言する。

 アルベールは小夜子に「あんたはいつも冷静だ。やり通せる?」と聞くと、小夜子は「そう。やらなきゃ意味がない」と答える。アルベールは「やれるとしたら?」と言って小夜子の手を触る。小夜子は「もう時間の問題だ。ゲランの言葉に惑わされないで」と言う。

 病院の診察室で吉村が小夜子に「全く薬が効かなかった。僕はもうだめかも」と話す。小夜子は「もっと強い薬を出しましょうか」と言う。吉村は「フランス人は皆詐欺師、通訳は嘘つきに思える。あと2年の任期だ。どうしたらいい?」と聞く。小夜子は「一度日本に帰国したら」と助言する。吉村は「日本に帰ったら、僕は終わりだ」と言う。小夜子は「本当に苦しいのは、終わらない事では。あなたならできる」と教える。

 小夜子が家に帰ると、パソコンに日本にいる夫の新島宗一郎から、ウェブカメラで通信が届く。小夜子はウェブカメラの視野の外で受け取る。宗一郎は「小夜子、聞こえている?どうしてパソコンの前にいないの?姿を見せて」と話しかける。

 夜、小夜子が廃工場へ行くと、ティボーとピエールに瓶ビールを与え「提案がある。彼にはうんざりした。もう終わりにしない?誰かを犯人にすれば、解放される」と話す。ティボーは「主任警備員のクリスチャン・ジラールが良い」と言うと、ピエールも「犯人にうってつけだ」と賛成する。小夜子は「口裏を合わせよう」と丸め込む。

 ティボーはアルベールに「犯人は警備主任のクリスチャン・ジラールだ。あいつは変態だ」。ピエールも「名簿で見た。いつかやると思っていた」と話す。アルベールは「やっとたどり着いた」と感激する。

 小夜子は弾を1発入れた拳銃をティボーとピエールの前に置き、「どちらが生き残るか決めろ」と言い、小夜子とアルベールは隣の部屋で休憩する。銃声が聞こえ、ピエールがティボーを撃ち殺していた。小夜子は「クリスチャンを見つけて、付き合わせる。ピエールが案内する」と言う。ピエールは「資料が財団の倉庫にある」と教える。

 アルベールはピエールを銃で脅して車に乗せ、車の手すりに手錠で繋ぐ。小夜子はティボーの死体をナイフで何度も刺す。3人は車で倉庫に行く。

 倉庫の管理人は「管理費は払われているが、財団と連絡が付かない」とぼやき、倉庫の鍵を開け、終わったら鍵を返すように言う。ピエールは資料の中から写真を見つけ、クリスチャンだと小夜子に見せる。アルベールは棚の覆いを取ると、沢山の臓器の標本があるのを見付ける。ピエールは「医学的な標本だろう」と言うが、アルベールは「お前が臓器を売った」と逆上し、銃でピエールを撃ち殺す。

 2人はピエールの死体を寝袋に詰め、車のトランクに入れる。アルベールが鍵を管理人に返しに行っている間に、小夜子はピエールの死体をドライバーで刺そうとするが、思いとどまる。アルベールが戻って来て、クリスチャンの写真を見ると、背景のジムに見覚えがあると言う。

 小夜子とアルベールがそのジムに行くと、クリスチャンがトレーニングしていた。ロッカールームにいたクリスチャンをアルベールがスタンガンで襲おうとするが、気づかれて格闘になる。小夜子が消火器でクリスチャンを殴って気絶させる。気が付いたクリスチャンがアルベールの首を絞める。小夜子がスタンガンでクリスチャンを気絶させる。2人はクリスチャンを寝袋に入れて引きずる。

 廃工場工場で、気絶したままのクリスチャンの両手両足を鎖で縛る。アルベールが水を掛けてもクリスチャンは目を覚まさない。すると、クリスチャンは意識があり、アルベールの首を鎖で締め、気絶させる。小夜子がスタンガンでクリスチャンを気絶させ、アルベールを隣の部屋に引きずる。

 アルベールが目を覚ます。アルベールは「クリスチャンを殺そう。それしかない」と言う。小夜子は「本当にそれでいい?それが望んだ結末なの?」と聞く。部屋の片隅には、ティボーとピエールの死体があった。アルベールが「悪夢だ」と言うと、小夜子は「前に進みたい」と言う。アルベールは気絶したままのクリスチャンに、娘のビデオを見せる。

 病院で吉村の死体が運ばれる。彼のフランス人の妻が「一瞬の出来事で、止められなかった。昨晩ナイフで喉を切って自殺した」と小夜子に教えて泣き崩れる。小夜子は「あの世では痛みを感じない。光で満ちている」と慰める。

 小夜子が自転車で買い物をして家に帰ろうとすると、道端にアルベールが車で来ていた。小夜子が「クリスチャンは?」と聞くと、寝袋に入れてトランクの中に入れていた。

 カフェでアルベールが「ここまでやれたのは君のお陰だ」と小夜子に感謝し、「これが終わったら何をする?」と聞く。小夜子は「何も考えていない」と答えると、アルベールは「日本に行きたい」と言う。すると、警官が車を見ていた。

 小夜子が警官に「買い物で遅れて」と言い訳すると、警官は「ここは駐車禁止だ」と言う。トランクから寝袋の端が出ていた。小夜子が日本人だと知った警官は「日本のアニメ大好きだ。セイント・セイヤ」と言う。小夜子も「私も」と相槌をうつ。

 小夜子の部屋のパソコンで、夫の宗一郎が「変わりない?病院続けているの?俺はそっちの暮らしを続けられなくて。ビザ切れたら、戻ったら?」と話す。小夜子は「どうかな」と答える。

 廃工場で、アルベールが鞄から、のこぎり、ハンマー、ペンチ、枝切り鋏などを出す。アルベールは意識がないクリスチャンの指を枝切り鋏で挟み、「質問に応えなかったら、指を1本ずつ切る。その後は腕だ」と脅すが、思いとどまって、外の空気を吸いに出て行く。

 クリスチャンが目を覚まし、小夜子に「取引しよう。あの娘は知っている。財団にいる時に見た。協力したら解放しろ」と言う。小夜子は「人違いで、クリスチャンでないと言い張ればいい」と教える。クリスチャンは「何が目的だ」と聞く。

 小夜子はアルベールをクリスチャンの前に連れてくる。クリスチャンは「俺はクリスチャンじゃない。クリスチャンがいる場所を知っている。何が知りたい?」と聞く。小夜子は「サークルの真実は?」と聞く。クリスチャンは「サークルの最高権力を持つデボラなら知っている。ミナール財団の創設者だ」と教える。小夜子は「やっと辿り着いた」と喜ぶ。アルベールは「デボラからは聞き出せない」と言う。クリスチャンは「彼女は子供を選別した。大事なのは臓器。幼いほど高く売れる」と教える。アルベールが「どこにいる?」と聞くと、「君の娘が見つかった所」と教える。小夜子が「何でデボラを避けるの?」と聞くと、アルベールは「妻のローラがいるかもしれない」と言う。

 小夜子はクリスチャンに鍵を投げ、鎖を解かせる。車を小夜子が運転し、クリスチャンを助手席に乗せ、後部座席からアルベールが銃で脅して出かける。

 着いたのは廃園になった遊園地だった。ある建物の前でクリスチャンが「中には武器を持った手下が沢山いる。俺がデボラと交渉して来る」と言う。小夜子が「クリスチャン、5分だけ待つ」と言うと、クリスチャンは「分かった」と返事する。アルベールは「お前はクリスチャンか?」と気づく。クリスチャンは「俺は、デボラが子供から臓器を取り出すのを撮影しただけだ。マニアに高く売れる。俺がお前の娘を撮影したので、覚えていた」と言う。怒ったアルベールはクリスチャンを撃ち殺す。

 小夜子とアルベールは工場に入る。銃を持った手下をアルベールが撃ち殺す。小夜子の姿が消え、アルベールが探し回る。2階に小夜子の姿を見つけて、アルベールが2階に行く。するとそこにあったテレビに、アルベールの娘のビデオが映る。アルベールが、銃を持ってやって来た2人の手下を撃ち殺す。あるベースが奥の部屋に入ると、沢山のテレビがあり、女の子が遊ぶビデオが映し出され、小夜子の声で「私の娘はここで殺された」と話す。アルベールが「知らなかった。君の娘もか」と言う。撃ってきた部下をアルベールが撃ち殺す。

 アルベールがさらに進むと、沢山の子供達とバシュレの妻のローラがいた。アルベールが「デボラは?」と聞くと、ローラは「死んだ。私が後を継いだ」と答える。ローラは「あなたはあの子を愛していなかった。どうすればいいかデボラに相談したら、ここに預けろと。預けた後の事は知らない」と話す。ローラは子供達を別の部屋に行かせる。ローラがナイフで襲って来るので、アルベールが撃ち殺す。

 小夜子がやって来て、アルベールが「これで終わった。こんなことになったが、これで良い。娘を連れて来たのはローラ。デボラが子供達を選別して、クリスチャンが殺した」と教える。小夜子は「残ったのはあなただけ」と言い、アルベールを気絶させる。

 アルベールが気付くと、廃工場で両手両足を鎖で繋がれていた。小夜子は「最後の食事よ」と言って、食事のトレイを目の前で落とす。「あなたはビデオの販売をした」と言う。アルベールは「販売の仲介をしただけで、中身は見ていない。俺も被害者だ」と言い訳する。小夜子は「あなたの娘が生きたまま殺されるのを見たいでしょ。私は見たわ」と言い、テレビを目の前において、ビデオを見せる。アルベールはてて目を覆う。

 アルベールは「何でこんな仕打ちを?」と聞く。部屋にはティボー、ピエール、クリスチャンの3人の死体があった。小夜子は「あなたが一番嫌い」と答える。自転車に乗って帰る。テレビの画面には、工場に片隅に子供の死体が入った寝袋が映る。

 家に帰った小夜子は、パソコンで夫の宗一郎と会話する。宗一郎は「画面越しに、君の笑顔を見るとホッとする」と話す。小夜子はフランス語で「娘を売ったのはあなたね」と言う。宗一郎は「今何と言った?」と聞き返すが、意味を理解して顔が曇る。

 (エンドクレジット)

(写真は「IMDb」「映画com」より)