『マッドマックス:フュリオサ』ネタバレの感想 フュリオサの苦労した過去が興味深い | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 本作は前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)の前日譚で、主人公のマックス以上に異彩を放っていたフュリオサの過去を描いているのが興味深い。

 まず、アリーラ・ブラウン演じる10歳の少女時代のフュリオサが描かれる。「緑の地」では森林があり人々は幸せに暮らしているが、緑豊かな土地は狭く、他者に知られたら侵略されるのが目に見える。そこでこの地を他者に知られてはいけないという掟があるらしい。フュリオサがこっそりバイクに近づいて燃料パイプを切ったのも、そのためであろう。娘がさらわれたと知った母親のメアリーの追跡もすさまじい。せっかくメリーが救出したのに、フュリオサは磔になった母親の元に戻ってしまう。その気持ちは分かるが、苦労の連続になるのが可哀そう。まずフュリオサはディメンタスに檻の中に捕らえる生活を送る。その後、イモータン・ジョーに預けられるが、彼の子産み女という性的奴隷になるのが凄惨であり、逃げ出すのも当然。フュリオサはカツラを自作してリクタスから逃げるのは頭がいい。

 てっきり少女時代はあっさりと描くと思ったら、何とほぼ1時間、上映時間の半分近くも少女時代を描いているのに驚いた。青年時代のフュリオサ役のアニャ・テイラー=ジョイの演技ばかりが賞賛されているが、アリーラ・ブラウンの演技も賞賛されるべきである。

 カツラが引っかかった小木が伸びて時間経過を表すのが面白い。フュリオサがウォー・ボーイに扮している場面からアニャ・テイラー=ジョイが演じている。男の振りをしてウォー・ボーイとして生活するのは大変だったろう。見習いからドッグマン、車両製造担当、警備副隊長と昇格していくのが頼もしい。

 ウォー・タンクが、オクトボス達に襲撃される場面が迫力ある。オクトボス達はバイクでウォー・タンクの側面や車体下を攻撃し、さらにパラグライダーやモーターパラグライダーで上空から多面的に攻撃するのが感心した。しかも方法を変えて次々に攻撃してくるので、一瞬も気を抜けない。本作の圧巻の場面である。ただ、前作のようなドラムやエレキギターがないので、高揚感には欠ける。

 ここでフュリオサは燃料パイプを修理し、時限爆弾を外し、ボミー・ノッカーでモーターパラグライダーを粉砕し、コンボでモーターグライダーを破壊し、と大活躍するのが頼もしい。

 イモータン・ジョーは前作に続いての登場で、メイクで若く見せているのかと思ったら、別の俳優のラッキー・ヒュームが演じていたとは。しかも彼は、リズデール・ペルも演じていたとは驚きである。

 ディメンタスは口が達者でカリスマ性があり、ガスタウン攻略では部下に偽ウォー・ボーイを演じさせ、頭がいいと思った。ただし、部下を本当に殺すとは冷酷で、部下が離反するのも当然だろう。

 このディメンタスに母を殺されたフュリオサは、ディメンタスを殺せたのに殺さず、母の復讐のためにじっくり苦痛を与える。何と彼を木の生きた肥やしにするとは怖い。

 フュリオサは最後に、5人のワイブズをウォー・タンクに隠して「緑の地」へ向かう。前作と完全に繋がり、フュリオサの優しさが分かるこの場面に感動した。フュリオサはかつてイモータンの子産み女にさせられたので、ワイブズを逃がしたのだろう。前作で「緑の地」は見つからず、途中の湿地が「緑の地」だったと言う説もあるが、星図を書いた左腕を切り落としたので、道を間違えたとも考えられる。このように本作を見ると、前作の理解も深まるのが面白い。一瞬だがマックスの姿が見られるのも嬉しい。

 最後にニュークスの車に付いていた、鳥の頭蓋骨のボブルヘッドが映る。次作にニュークスが登場するのだろうか?ぜひ続編を製作してほしい。

 原題は『FURIOSA A MAD MAX SAGA』で、「フュリオサ:マッドマックス英雄伝」の意味。評価は「4」である。