『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』ネタバレの感想 人間と恐竜の共存はどうしたの?(改訂) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

2024年5月31日に「金曜ロードショー」で『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』が放映される。そこで2022年8月の公開当時に「ネタバレの感想」を掲載したが、DVDで見直して、改訂したので掲載する。

 評価 3/5 ☆☆☆★★

 本作は『ジュラシック・ワールド』3部作の完結編であり、恐竜が放たれた後の世界はどうなるのか、非常に興味を持って見た。また、本作は『ジュラシック・パーク』シリーズの第6作であり、オーウェンとクレア、アラン博士とエリー博士の歴代主人公勢揃いの豪華な顔ぶれに驚く。初対面だが、お互いに名声を知っているのも面白い。イアン博士とウー博士も4回目の登場。メイジー、フランクリン、ジア、ハリーも2回目と、複数回の登場者が多い。バイオシン社長も2回目の登場。古いスプレー缶を持っていたように、第1作でネドリーにそのスプレー缶に恐竜の杯を入れて盗ませたのが彼だったが、別の俳優なので気付かなかった。ネドリーが殺されたディロフォサウルスに、彼も殺されたのはご愛嬌か?でも、そのスプレー缶はどうやって見つけたのだろう? 

 登場する恐竜の種類が多いのにも感心した。ヌブラル島から救出した恐竜は11種類だったが、それよりも多い。バイオシン社は新しい恐竜を製作していないと言ったが、ウーが運び出した胚を育てたのか?

 今回、クレアとオーウェンは誘拐された養女メイジーを命がけで探す。メイジーは最初、クレアとオーウェンに反発していたが、2人を「両親」と認める。さらにメイジーは、実の母親シャーロックの愛を知る。ブルーとベータの親子の愛情もあった。本作のテーマの1つは「親子の愛」だろう。

 もう1つのテーマは、冒頭の報道番組で言っていた「人間と恐竜の共存」だろう。ところが、映画は誘拐されたメイジーを取り返し、彼女の遺伝子を使って「巨大イナゴを撲滅」する話に終始しているのがおかしい。結局、どうやって人間と恐竜が共存できるかを描いていない。

 映画の最後に、動物達と恐竜達が仲良く暮らす美しい映像が映って「人間と恐竜の共存」を演出しているが、フェイク映像に思える。プテラノドンは凶暴で『JP3』や『JW1』で人を襲っており、大都市に巣を作るなんてとんでもない。本作では鳩を食っていたので鳥も襲うだろう。モササウルスは冒頭で漁船を転覆させ、『JW2』では人間を食っていたので、ザトウクジラや『JW2』のサーファーも食うだろう。主な肉食恐竜はバイオシン谷のサンクチュアリに移されたらしいが、モササウルスのように全部は移動できない。全ての肉食恐竜を隔離するか、遺伝子を操作して人間を襲っていけないと刷り込みしないと、共存は無理であろう。草食恐竜も相当な食欲だろうから、草木を食って生態系を破壊するのは間違いない。

 ところで、地下6階の制限区域にエリーとアランが簡単に侵入できるとは、セキュリティーはどうなっているの?ピロラプトルは氷が厚かったら出られないのに、なぜ潜ったの?氷水に落ちて濡れたオーウェンは凍死しないの?クレアが監視塔にいると、オーウェン達はどうやって知ったの?しかもディロフォサウルスに襲われる寸前とはタイミングが良すぎ。イアンが運転する車が転落すると、オーウェン逹がいる監視塔の前だったとは都合が良すぎ。火が点いたイナゴは飛べるの?ティラノサウルスとギガノトサウルスの戦いに2回も遭遇するが、誰も襲われないのはなぜ?ドジスン社長を襲ったディロフォサウルスは、施設に集合しないの?どうやって地下トンネルに侵入したの?など、かなりご都合主義である。

 オーウェンやクレアを執拗に追って来るアトロキラプトルの場面はスリルがあった。でも、レーザーポインターでマークするなら、銃で撃った方が早く殺せる気がする。クレアが、米国人だからとケイラに協力を求めるのは、軽率では?ラムジーが味方だと名乗っただけで、アランとエリーが信用するのも信用しすぎでは。もし罠だったらどうするの?ケイラもラムジーも2人とも善人で良かったが。

 映画を見終わって、邦題の「新たなる支配者」とは恐竜?それとも人間?両方?と戸惑った。原題は『JURASSIC WORLD:DOMINION』で、DOMINIONは領土や支配権の意味である。つまり人間と恐竜の「住み分け」の意味だと思う。前作もだが、邦題は意識的な誤訳であろう。評価は「3」である。